コラム
従業員の違法引き抜き|請求できる損害項目と裁判所の傾向
自社の従業員が突然退職し、それが元役員や元従業員からの「引き抜き」によるものだと判明した際、経営者が受ける精神的苦痛は大きいものです。「裏切られた」「会社に大きな損害が発生した」と、怒りや悲しさを感じるのも当然のことです。
では、自社の従業員を違法に引き抜かれた場合、相手方にいくらの損害賠償を請求できるのでしょうか?
結論からいうと、裁判所が「損害」として認めるハードルは決して低くありません。
本コラムでは、違法な引き抜きに対して実際に請求できる損害の項目、裁判所の傾向について、分かりやすく解説します。
1.引き抜きが「違法となる基準」とは?
まず、前提として、従業員の引き抜きが違法となる基準を簡単に説明します。
裁判例では、引き抜き行為が単なる勧誘の範囲を超えて、「社会的相当性を逸脱した背信的な引き抜き行為である」場合には、違法であり、損害賠償請求が認められるとしています。
つまり適法か違法かを分ける最大の基準は、その引き抜きが、「社会通念上、許される範囲(社会的相当性)を超えて悪質といえるか否か」です。
2.損害の内訳と裁判例の傾向
では、引き抜きが違法と評価された場合、損害として、どこまでが認められるのでしょうか。以下では、損害の項目ごとに、裁判例の傾向も踏まえて、解説していきます。
(1)売上減少分(逸失利益)
まず、第一に考えられるのは、従業員の引き抜きによって生じた売上減少分です。実務上も、この項目が請求額として、一番大きい金額になることが多いです。
裁判所の傾向として、①【引き抜かれた従業員が挙げていた粗利益】から、②【引き抜かれた従業員の給与等の人件費】を差し引いた金額を、損害として認定することが多いです。
そして、①の損害として認める粗利益の期間ですが、1か月~6か月分のいずれかで認定されているものが大半です。なお、従業員の引き抜きのみならず、顧客の引き抜きも同時にされている事案で、行為態様が大規模かつ極めて悪質で、競業行為がなければ契約が確実に維持されたと思われた事案では、期間として1年以上の損害発生が認められたものもあります。
もちろん、引き抜かれた会社経営者の立場からすれば、売上減少分全額を損害として認められるべきとお考えになると思いますが、裁判例上は、そのような取扱いはされていません。
この理由として、裁判例では、以下の2つの理由が挙げられています。
①従業員には、退職・転職の自由が認められていて、従業員の自由意志による退職・転職によって企業に損害が発生しても、その損害は、原則として企業が受け入れなければならない
②企業としては、適宜の方法で従業員を補充して、退職・転職による損失を最小限にするために努力するのが通例であり、元の業績に回復するまでの期間が長かったとしても、企業がこれを負担しなければならない
(2)研修期間中の給与
引き抜かれた従業員の育成期間中の給与については、事例毎に判断が分かれています。
傾向としては、教育内容、教育期間の長短、教育期間中に従業員が研修以外の業務に従事していたか、引き抜き時期が教育期間中であるかなどによって、判断されています。
裁判例上、①研修期間中の従業員が引き抜かれた事案で、②その研修期間中、歩合給ではなく固定給が支給されており、③研修期間中にその従業員が売上を上げていなかった場合に、研修期間中の固定給を損害として認めた事例があります。
他方、同一の事例で、研修を終了していた従業員については、育成期間中の給与が損害として認められていません。これは、当該従業員が、会社在籍当時に(研修期間終了後に)、研修の成果として、売上実績を挙げていたと判断されたためです。
裁判例の傾向からして、研修期間中に従業員が引き抜かれた場合で、その研修期間中も従業員が売上を挙げていなかった場合など、育成期間中の給与を全く回収できていなかった場合には、育成期間中の給与が損害として認められやすいといえます。
(3)新たな従業員の募集費用
新たな従業員の募集費用についても、事例毎に判断が分かれています。
裁判例の傾向として、多数の従業員を引き抜かれ、従業員を補充する必要がある場合には、従業員募集の広告費用についても、損害として認められています。
他方、その会社において、従業員の退職の有無やその人数にかかわりなく、恒常的に募集広告を行っていた場合には、従業員の募集費用が損害として認められていません。
(4)弁護士費用
従業員の引き抜きが違法であると評価された場合には、弁護士費用も損害額として認められています。
但し、その金額については、実際に弁護士に支払った金額ではなく、裁判所が認めた損害額の10%が基準となっています。
(5)その他
引き抜き行為をした元取締役や元従業員に支払っていた給与も損害にならないかとのご相談を頂くことがありますが、実務上、これらの給与については、返還請求が認められておらず、損害としても認められていません。
次に、引き抜き行為者に支給した退職金の返還を求めたいとのご相談を頂くこともあります。
退職金の返還については、①就業規則などで、従業員の引き抜きを行った場合には退職金の返還を求める旨の規定が存在し、②今回の引き抜き行為が、これまでの貢献を帳消しにするほどの著しい背信行為があったと評価できる場合には、退職金の返還請求が認められる傾向にあります。
実務上、就業規則に退職金返還の規定が存在している場合には、引き抜き行為者に対して、退職金の返還も求めていくことが多いです。
3.損害額が高額になるケース
裁判所が「損害額」を認めるハードルは決して低くありませんが、過去の裁判例では、損害額が高額になっているケースもあります。
例えば、従業員の引き抜きのみならず、顧客の引き抜きも行われた事例で、法人の経営を左右するほど重大な損害を発生させたとして、7200万円もの損害賠償請求が認められています。
また、法人の執行役員規程で、従業員の引き抜きを行った場合の違約金として、「引き抜かれた従業員の前の1年間の給与額(賞与金額を含む)相当の金額」を設定しており、引き抜かれた従業員が複数であったため、合計4000万円以上の請求が認められた事例もあります。
但し、過去の多くの裁判例や実務上の取扱いを考慮すれば、従業員が引き抜かれたとしても、裁判所が認める損害額は、企業に実際に発生した損害額を下回ることがほとんどです。
そのため、企業においては、適切に、引き抜きへの予防策を立てておくことが重要といえます。
4.最後に
今回は、従業員が違法に引き抜かれた場合に認められる損害について、損害の項目や裁判例の傾向を踏まえて解説しました。
当事務所は、1983年の創業以来、企業の顧問弁護士として、多くの労働紛争を解決して参りました。
今回のような、従業員の引き抜き案件についても、多数の対応実績がありますので、お困りの企業様は、お気軽に当事務所までご相談ください。

1983年の創業以来、京都市を拠点に企業法務に注力してきました。現在では、東証プライム上場企業から中小企業、ベンチャー企業まで、50社以上の顧問弁護士として継続的なリーガルサービスを提供しています。
労働問題、債権回収、クレーム対応、契約書のリーガルチェック、事業承継など、企業活動におけるさまざまな課題に対応しており、数億円規模の訴訟案件など、訴訟・紛争案件の解決実績も豊富です。
京都府(京都市北区・上京区・左京区・中京区・東山区・山科区・下京区・南区・右京区・西京区・伏見区・長岡京市・八幡市・京田辺市・宇治市・亀岡市・城陽市・向日市・福知山市・舞鶴市・綾部市・宮津市・京丹後市・南丹市・木津川市など)、滋賀県、大阪府を中心に、全国の企業様からのご相談にも対応しております。
企業の皆様が直面する法的課題に対し、実践的かつ柔軟な解決策を提供し、信頼されるパートナーとして共に歩んでまいります。
初回相談料無料。事前予約で夜間休日のご相談にも対応可能ですので、まずはお気軽にご相談ください。
従業員を引き抜かれたら損害賠償請求できる?弁護士が解説
企業経営をしていると、自社の幹部や従業員が退職した後に、自社の従業員を引き抜いてくることもあります。
企業としては、会社に重大な損害が発生したとして、損害賠償請求を行うことも視野に入ると思いますが、これは認められるのでしょうか。
今回は、従業員を引き抜かれたことを理由に損害賠償請求ができるのかについて、解説します。
1.損害賠償請求の法的根拠
まず、従業員の引き抜きを理由に損害賠償請求をする場合の法的根拠としては、次の2種類が考えられます。
①誓約書違反(債務不履行)に基づく請求
引き抜きを行った元幹部(元従業員)が自社の在職中に、従業員の引き抜きを行わない旨の誓約書などを提出しているケースです。
この場合には、誓約書違反(債務不履行)を理由とする損害賠償請求が法的根拠となります。
②不法行為に基づく請求
他方、引き抜きを行った元幹部(元従業員)が上記のような誓約書を提出していないケースもあります。
この場合には、不法行為(民法709条)に基づく損害賠償請求が法的根拠となります。
【実務上の取扱い】
1つ目の誓約書などがあるケースでも、不法行為に基づく損害賠償請求を法的根拠とすることはできます。
そのため、実務上は、誓約書違反(債務不履行)のみならず、不法行為も法的根拠として併記することが多いです。
2.誓約書違反(債務不履行)を理由とする損害賠償請求
引き抜きを行った元幹部(元従業員)が、従業員の引き抜きを行わない旨の誓約書などを提出している場合には、元幹部による当該引き抜き行為が、①誓約書の規定に違反しているのか、②そもそもその誓約書の規定は有効なのかが、問題となります。
問題点①:誓約書の規定に違反しているのか
ここでは端的に、その者が引き抜きを行ったのか否かが問題になります。
この種の案件の場合、引き抜きを行った側は、「自身は転職の相談に乗っただけで、転職の勧誘をしたわけでもないし、従業員が自発的に自身の後を追って、転職先に来たにすぎない」と主張をすることが多いです。
そのため、当該従業員の転職に際して、相手方の関与の有無や程度が問題となり、その者が積極的に働きかけて転職をさせたのかが争点となってきます。
会社としては、相手方が積極的に働きかけたことを裏付けるために、メール、チャットルームのメッセージ、LINE等のSNSのやり取り、関係者の証言などを集めていくことになります。
従業員の引き抜きが行われている場合には、相手方からの勧誘を断った従業員が自社にいることも多く、その者が勧誘の証拠を持っていることも多いです。
問題点②:従業員の引き抜きを禁止する旨の誓約書の規定は有効か
これは、法的にみれば、その誓約書の規定が公序良俗に反し、無効であるか否かという問題です。
実務上、従業員の引き抜きを禁止する旨の誓約書の規定は、同業他社への転職自体を禁止する競業避止義務と比べれば、有効と認められやすい傾向にあります。
しかし、無制限な条項の場合、無効とされるリスクもあります。
そのため、次のように、一定の限定が加えられていた方が、規定が有効とされやすいです。
〇禁止期間:「退職後1年半」前後
〇禁止範囲:「会社と同一又は類似する事業者への勧誘」など
3.不法行為を理由とする損害賠償請求
次に、相手方が在職中に誓約書などを提出していない場合には、不法行為を理由とする損害賠償請求を検討することになります。
不法行為を理由とする請求の場合には、引き抜き行為が単なる勧誘の範囲を超えて、「社会的相当性を逸脱した背信的な引き抜き行為である」といえるか否かが、問題となります。
裁判所は、主に、以下の4つの要素を総合的に考慮して違法性を判断します。
要素①:引き抜きを主導した者の自社在職時の立場
引き抜きを行った人物が、幹部社員や役員であった場合など、自社での立場が高かった場合には、違法であるとの方向に傾く事情になります。
要素②:引き抜かれた従業員の役職や人数
引き抜かれた従業員が会社で重要な立場にいた場合や、人数が多い場合には、違法との判断がされやすくなります。
要素③:自社に及ぼした影響・損害の程度
引き抜きによって、自社の業務運営に重要な支障が生じたり、多額の損害が発生した場合には、違法との判断がされやすくなります。
要素④:引き抜き時の勧誘の方法・態様
引き抜かれた者が引き継ぎを一切行わず一斉に退職した場合や、引き抜きに際して会社に不利益となる虚偽の情報を吹き込んだり、裏で金銭供与をするなど、勧誘の方法が悪質である場合には、違法との判断がされやすくなります。
最終的に
上記の①から④の要素を考慮して、引き抜き行為が単なる勧誘の範囲を超えて、「社会的相当性を逸脱した背信的な引き抜き行為である」といえる場合には、損害賠償請求が認められることになります。
ただし、不法行為を理由とする請求の場合には、先ほどの誓約書違反を理由とする請求よりも、ハードルが高いのが実情です。
そのため、自社において、適切に誓約書などで、従業員の引き抜きを禁止する旨の規定を設けておくことが重要です。
4.従業員の引き抜きで認められる損害額の相場
従業員の引き抜きに関する損害額については、裁判所の傾向として、以下の計算を行うことが多いです。
〇【引き抜かれた従業員が上げていた粗利益】から、【その従業員の給与等の人件費】を差し引いた金額
なお、粗利益を認める期間としては、概ね1ヶ月から3か月程度を設定している裁判例が多いです。
このように、従業員が引き抜かれた場合の、損害額としては、あまり高額にならないことも多く、実際上会社に生じた損害を補填できないケースが少なくありません。
誓約書で「違約金」を定めている場合
もっとも、上記は誓約書などで、「従業員の引き抜きがあった場合の違約金」を定めていないケースの話です。
相手方が、自社在職中に誓約書を提出しており、その中に、違約金が定められている場合には、損害額としては、その定められた金額が基準となります。
ただし、違約金の金額が不相当に高額な場合には、裁判所からその規定を無効とされてしまいます。
近年の裁判例を見ると、「引き抜かれた従業員の前の1年間の給与額(賞与金額を含む)相当の金額」を違約金として設定して、有効とされているものがあります。
ただし、この事案は、大手コンサルティングファームの事案で、商材としては「人材」のみで、かつ、採用してから一人前に育てるまでに期間がかかるケースでした。
したがって、事案によっては、違約金として「引き抜かれた従業員の過去1年間の給与額(賞与金額を含む)」と定めていても無効とされることもあり、個別的に判断されることになります。
企業としては、この点も踏まえて、自社の従業員が引き抜かれないよう、適切に予防策を立てることが重要といえます。
5.最後に
今回は、従業員を引き抜かれたことを理由に損害賠償請求ができるのかについて、解説しました。
当事務所は、1983年の創業以来、企業の顧問弁護士として、多くの労働紛争を解決して参りました。
今回のような、従業員の引き抜き案件についても、多数の対応実績がありますので、お困りの企業様は、お気軽に当事務所までご相談ください。

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従業員の引き抜きを違法と評価した近時の裁判例を解説!
自社の元役員や元従業員が、自社の従業員を引き抜いていくトラブルは、多くの経営者を悩ませています。
従業員の引き抜きが違法とされるか否かの境界線はどこにあるのでしょうか。その具体的な判断基準を知る上で、近時の裁判例は重要な指標になります。
そこで、今回は、従業員の引き抜きを違法と評価した近時の裁判例について、企業側で労働問題に注力する弁護士が解説します。
1.従業員の引き抜きが違法か否かの基準
まず、従業員の引き抜きが違法と評価されるか否かの、判断基準を簡単に説明します。
裁判例の傾向として、引き抜き行為が単なる勧誘の範囲を超えて、「社会的相当性を逸脱した背信的な引き抜き行為である」場合には、違法として、損害賠償請求を認めています。
適法か違法かを分ける最大の基準は、その引き抜きが、「社会通念上、許される範囲(社会的相当性)を超えて悪質といえるか否か」です。
この点については、下記のコラムで詳細に解説していますので、気になる方は是非参考にされてください。
■参考コラム
2.従業員の引き抜きを違法とした近時の裁判例
東京地裁令和4年2月16日判決は、大手コンサルティングファームの元幹部が、自らのチームの従業員4名を引き抜いたこと等を理由に、約1億2000万円の請求を受けた事件についてのものです。
東京地裁は、当該元幹部の引き抜きが違法であると判断して、約5000万円の請求を認めています。
(1)違法と判断した理由
裁判所は、当該元幹部社員の引き抜きが、「単なる勧誘行為にとどまるものではなく、社会的相当性を逸脱した背信的な引き抜き行為であると評価するのが相当であり、不法行為に当たるものというべきである」と認定しています。
裁判所は、引き抜き行為を違法と判断する際に、下記の事実を重視しました。
■裁判所が重視した事実
①引抜行為者が、会社の業務執行社員であった者で、会社において重要な地位にあったこと
②引抜行為者が退職後のみならず、在任中から働きかけを行っていたこと
③自身が責任者を務めるチームの構成員を含む、7名に対して、転職するよう長期間にわたって勧誘し、移籍後の勤務条件について、転職先との間で代わりに交渉して、希望する条件(給与額や配属先など)で移籍できることを約束したこと
④業務上の打合せがあるかのように装って連絡したり、メッセージをこまめに削除するよう促すメッセージを送信させるなど、引抜行為が会社に事前に知られることのないように、秘密裏に動こうとしたこと
⑤会社において、自身のチームが担当していた業務を、実質的に機能しなくなることを企図して転職を働きかけて、会社に打撃を与えたこと
⑥会社を退職する直前から記者に接触を図り、会社の内部情報等を伝えるなどして、会社に対する批判的な記事の掲載に協力したこと
(2)裁判所が請求を認めた金額
この事例で、裁判所は、合計5086万2450円の請求を認めています。
ア 引抜により発生した損害
この事例では、会社の執行役員規程とパートナー規程において、「退任後1年以内に会社又はグループの他法人から他の従業員等を引き抜いた場合には、当該従業員等の前の1年間の報酬額(賞与金額を含む)相当の金額を、会社又は当該法人に支払わなければならない」との定めがありました。
そのため、かかる規程により、実際に引き抜いた従業員4名分の前年の報酬額である合計4255万4450円の請求が認められています。
・弁護士の補足説明
上記の規程がなければ、引き抜いた従業員の前年報酬額の請求は認められません。
一般的に、従業員の引き抜きの際に認められる損害額は、引き抜かれた従業員が会社で上げていた粗利益をもとに計算します。
イ 退職金の返還請求
退職金を支給する会社の中には、就業規則などで、一定の場合に、退職金を不支給や減額としたり、一度支払った退職金の返還を求める旨を定めている会社があります(当事務所もそのような定めを置くことを推奨しています)。
そして、この事例でも、会社の社員報酬規程において、「退職金の支給後に、退職する社員が会社に損害又は不利益をもたらしたと経営会議が認めた場合、会社は支給した退職金の返還を求めることができる」旨が定められていました。
そのため、かかる規程により、退職金のうち、当該元幹部社員の業務執行社員としての業務への対価部分である、830万8000円の返還請求を認めています。
3.最後に
今回は、従業員の引き抜きを違法と評価した近時の裁判例について、解説しました。
従業員が引き抜かれた場合には初動対応が重要ですし、今後の予防策を講じる必要もあります。
当事務所は、1983年の創業以来、企業の顧問弁護士として、多くの労働紛争を解決して参りました。
今回のような、従業員の引抜き案件についても、多数の対応実績がありますので、お困りの企業様は、お気軽に当事務所までご相談ください。

1983年の創業以来、京都市を拠点に企業法務に注力してきました。現在では、東証プライム上場企業から中小企業、ベンチャー企業まで、50社以上の顧問弁護士として継続的なリーガルサービスを提供しています。
労働問題、債権回収、クレーム対応、契約書のリーガルチェック、事業承継など、企業活動におけるさまざまな課題に対応しており、数億円規模の訴訟案件など、訴訟・紛争案件の解決実績も豊富です。
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企業の皆様が直面する法的課題に対し、実践的かつ柔軟な解決策を提供し、信頼されるパートナーとして共に歩んでまいります。
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従業員の引き抜きを防止するための予防策とは?
企業経営をしていると、自社の元役員や元従業員から、自社の従業員を引き抜かれることも少なくありません。
このような「従業員の引き抜き問題」に対しては、企業が適切に予防しておかないと、長期的にみて大きな被害を被ってしまいます。
そこで本コラムでは、従業員の引き抜きを防止するための予防策について、企業側で労働問題に注力する弁護士が解説します。
1.誓約書の提出を求める
前提として、「従業員の引き抜き」が問題になるのは、主に自社の元役員や元従業員といった、元々自社に所属していた者からの引き抜きです。
そのため、引き抜き行為者が自社に在籍していた時代に、適切に対応をしておくことが重要になります。
そして、予防策の1つ目は、従業員が入社する時と退職する時の2回、誓約書の提出を求めることです。
誓約書の具体的な内容としては、①在職中のみならず退職後においても、自社に勤務する従業員の引き抜き行為をしない旨の内容が考えられます。
また、一般的には、誓約書において、上記の従業員引抜防止条項のみならず、②秘密保持の誓約(顧客情報の持ち出し禁止)、③自社の顧客を奪うことの禁止、④競業避止義務(期間や範囲を限定した上で)、辺りも規定することが多い印象です。
なお、退職後に揉めそうな相手ほど、退職時の誓約書の提出を拒否してくるケースが多いです。
そのような場合には、会社の方から、入社時に提出してもらった誓約書を提示し、退職後、自社の従業員の引き抜き等を行わないよう警告することになります。
退職時の誓約書を拒否されるケースが多いからこそ、退職時だけではなく、「入社時」にどれだけ法的に精度の高い誓約書を巻いておけるかが、会社を防衛するためには重要なのです。
2.就業規則に規定する
予防策の2つ目は、「就業規則」の中で、引き抜き行為の禁止を明確に規定しておくことです。
「1」で解説した誓約書と併せて、就業規則で規定しておくことが、主流の予防策です。
具体的には、就業規則に、①在職中のみならず退職後においても、会社に勤務する従業員の引き抜き行為をしてはならない旨を規定することになります。また、これに加えて、「1」の誓約書の際と同様、②秘密保持の誓約(顧客情報の持ち出し禁止)、③自社の顧客を奪うことの禁止、④競業避止義務(期間や範囲を限定した上で)、辺りも規定することが多いです。
また、就業規則においては、上記のみならず、違反した場合には「退職金の全部または一部を支給しない(あるいは返還を求める)」旨の退職金不支給・減額規定も、加えておくことが重要です。
但し、判例上、退職金の不支給や減額が認められるためには、当該事由が「これまでの貢献を帳消しにするほどの著しい背信行為」であると言えることが必要です。
そのため、実際の制度設計や、運用に際しては、従業員の引き抜き問題に精通する弁護士に相談の上、対応されることを推奨します。
3.違反者に毅然かつ適切に対応する
予防策の3つ目は、実際に引き抜きが判明した場合に、違反者に対して毅然かつ適切に対応することです。
いくら誓約書や就業規則で厳格にルールを規定していても、残念ながら違反者が出てしまうこともあります。その際に、会社が違反者に対して、法的に適切な対応を取っていくことが極めて重要になります。
なぜなら、いくら誓約書や就業規則の規定があっても、いざ違反があった際に会社が適切に対応しないのでは、これらの規定が無になってしまうからです。
また、会社が適切に対応を取らない姿勢を見せると、周囲の従業員に対しても、「引き抜きを行っても問題ないんだ」という誤ったメッセージを伝えることになり、結果として、今後の違反者を増加させることにも繋がります。
実際に違反者が出た際に、弁護士に相談の上適切に対応していくことが、未来の違反者の発生を防ぐことにも繋がるのです。
4.最後に
今回は、従業員の引き抜きを防止するための予防策について、解説しました。
残念ながら、一度、従業員の引き抜き問題が発生した場合、その後も同じ問題が発生するケースも多いです。
だからこそ、本コラムで解説した内容を踏まえて、適切に予防策を取っていくことが重要になり、その際には顧問弁護士の活用も重要になります。
なぜなら、この問題に精通した顧問弁護士であれば、予防策を適切に組んでくれることが期待できますし、引き抜く側も実際に引き抜きをした場合、その顧問弁護士が対応してくることが分かるため、引き抜きを行うことを躊躇しやすくなるためです。
当事務所は、1983年の創業以来、企業の顧問弁護士として、多くの労働紛争を解決して参りました。
今回のような、従業員の引き抜き案件についても、多数の対応実績がありますので、お困りの企業様は、お気軽に当事務所までご相談ください。

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自社の従業員を引き抜かれた時に会社が取るべき対応
企業経営をしていく中で、自社の元役員・元従業員から、自社の従業員が引き抜かれることもあります。
このような場合に、会社はどのような対応を取ればよいのでしょうか。
今回は、従業員を引き抜かれた時に会社が取るべき対応について、企業側で労働問題に注力する弁護士が解説します。
1.従業員の引き抜きが「違法となる基準」について
まず、従業員の引き抜きが違法となるか否かの基準について、簡単に解説します。
裁判例では、引き抜き行為が単なる勧誘の範囲を超えて、「社会的相当性を逸脱した背信的な引き抜き行為である」場合には、違法であり、損害賠償請求が認められるとしています。
つまり適法か違法かを分ける最大の基準は、その引き抜きが、「社会通念上、許される範囲(社会的相当性)を超えて悪質といえるか否か」です。
より詳しい内容については、下記コラムにて詳細に解説していますので、気になる方は、是非参考にされてください。
■参考コラム
2.従業員が引き抜かれた際の対処法
以下では、従業員が引き抜かれた際に、会社がどのように対応していけばよいかについて、解説します。
(1)現状確認
まずは、現状確認を行うことが重要であり、具体的には、次のような事項を確認することになります。
①誰が引き抜きを行ったのか
②いつ頃から引き抜きが始まったのか
③どのような方法で引き抜きが行われたのか
④自社の従業員が何人引き抜かれたのか
⑤引き抜かれた従業員は、現在どこで働いているのか
⑥引き抜かれた従業員以外にも勧誘を受けた従業員がいないか(いる場合には当該従業員に①から③についても確認する)
⑦現在も相手方の引き抜き活動が継続していないか
近い時期で自社の従業員が引き抜かれている場合には、今現在も、所属している従業員に対して同様の働きかけが行われている可能性があるため、注意が必要です。
(2)証拠の収集
次に、引き抜きに関する証拠を収集します。
例えば、以下のような資料が証拠となる可能性があります。
・メール
・チャットツールのメッセージ
・LINE等のSNSのやり取り
・通話履歴
・録音データ
・関係者の証言
・引き抜き相手の会社のSNSなど(引き抜かれた従業員が掲載されていることがあります)
相手方の勧誘を断った従業員が自社にいる場合、その従業員が証拠を持っていることも多いです。
(3)損害賠償請求等の検討
確認した事実や証拠を踏まえて、相手方に損害賠償請求等の法的手段を行うか否かを検討することになります。損害賠償請求を行う場合には、引き抜きによって自社に発生した損害についても、検討していきます。
①損賠賠償請求等の法的手段をとるか、②事実確認や、証拠収集をどのように行うかについては、引き抜き問題に精通する弁護士への相談が肝要です。
(4)内容証明郵便の送付
損害賠償請求等の法的手段を行う場合には、相手方に対して内容証明郵便を送付することになります。
適切に法的手段を行使するためにも、弁護士に依頼をして、内容証明郵便を作成してもらった方がよいです。
内容証明送付後の流れですが、多くのケースでは、相手方にも弁護士が就任し、弁護士同士でやり取りを行っていくことになります。
そして、弁護士同士で交渉の上、双方で条件面での折り合いがつけば、合意書が作成されることになります。
他方、双方で合意形成ができない場合、多くのケースでは、事前の交渉を打ち切り、請求者側が訴訟提起を行っていくことになります。
3.最後に
今回は、従業員を引き抜かれた時に会社が取るべき対応について、解説しました。
従業員の引き抜き問題があった場合には、その際の対応が重要なことはもちろんですが、その後の予防策も重要になります。なぜなら、一度、従業員の引き抜き問題が発生した会社の場合、適切な対応を取っておかないと、その後も同じ問題が発生するケースも多いためです。そこで、次回のコラムでは、従業員の引き抜きに対して会社が取るべき予防策について、解説します。
当事務所は、1983年の創業以来、企業の顧問弁護士として、多くの労働紛争を解決して参りました。
今回のような、従業員の引き抜き案件についても、多数の対応実績がありますので、お困りの企業様は、お気軽に当事務所までご相談ください。

1983年の創業以来、京都市を拠点に企業法務に注力してきました。現在では、東証プライム上場企業から中小企業、ベンチャー企業まで、50社以上の顧問弁護士として継続的なリーガルサービスを提供しています。
労働問題、債権回収、クレーム対応、契約書のリーガルチェック、事業承継など、企業活動におけるさまざまな課題に対応しており、数億円規模の訴訟案件など、訴訟・紛争案件の解決実績も豊富です。
京都府(京都市北区・上京区・左京区・中京区・東山区・山科区・下京区・南区・右京区・西京区・伏見区・長岡京市・八幡市・京田辺市・宇治市・亀岡市・城陽市・向日市・福知山市・舞鶴市・綾部市・宮津市・京丹後市・南丹市・木津川市など)、滋賀県、大阪府を中心に、全国の企業様からのご相談にも対応しております。
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従業員の引き抜きは違法?企業側の弁護士が解説
企業経営をしていく中で、自社の元役員・元従業員による「従業員の引き抜き」に頭を悩まされるケースは少なくありません。
そこで、今回は、従業員の引き抜きが「違法となる基準」や具体例について、企業側での労働問題に注力する弁護士が解説します。
1.従業員の引き抜きが「違法となる基準」とは?
法律上、従業員の引き抜き行為は、原則として適法とされています。これは、憲法で保障された職業選択の自由に基づき、労働者に転職の自由が認められることが関係しています。そのため、従業員の引き抜き行為が、単なる転職の勧誘や情報提供にとどまる限り、その違法性を問うことはできません。
もっとも、どのような引き抜きであっても許されるわけではありません。
裁判例では、引き抜き行為が単なる勧誘の範囲を超えて、「社会的相当性を逸脱した背信的な引き抜き行為である」場合には、違法であり、損害賠償請求が認められるとしています。
つまり適法か違法かを分ける最大の基準は、その引き抜きが、「社会通念上、許される範囲(社会的相当性)を超えて悪質といえるか否か」です。
2.裁判所が違法性を判断する4つの要素
では、具体的にどのような事情があれば、「社会的相当性を逸脱している(=違法)」と判断されるのでしょうか。裁判所は、主に、以下の4つの要素を総合的に考慮して、違法性を判断しています。
なお、以下に挙げる具体例は、全て、「違法」であるとの方向に傾く事情になります。
①引き抜きを主導した者の立場
引き抜きを計画・実行した人物が会社に対して、高い忠実義務を負うべき立場であるほど、違法との判断がされやすくなります。
・引き抜き行為者が会社の経営中枢にいる幹部社員や取締役である場合
・社内で強い影響力や部下への指導権限、人事権を持つ役職に就いていた場合
②引き抜かれた側の役職や人数
引き抜かれた従業員の重要性や、その規模感も大きな判断材料になります。
・引き抜かれた従業員が会社で重要な地位を担っていた場合
・引き抜かれた人数が多い場合
③会社に及ぼした影響・損害の程度
引き抜き行為によって、企業活動にどれだけ影響を与えたかも重視されます。
・主要メンバーが抜けたことで、進行中のプロジェクトや基幹業務が頓挫した場合
・組織に穴があき、会社の業務運営そのものに重大な支障が生じた場合
・会社に多額の金銭的損害が発生した場合
④引き抜き時の勧誘の方法・態様
勧誘の手口や方法が悪質である場合には、違法との判断がされやすくなります。
・他社に内定している事実を隠して、在職中に社内で移籍の根回しを行った場合
・引き抜かれた退職者たちが、業務の引継ぎを一切行わず、突然一斉に退職した場合
・他の従業員に「この会社はもう危ない」などと会社に不利益となる虚偽の情報を吹き込んだり、裏で金銭を供与するなどして転職を勧誘した場合
3.引き抜きの主体による違法性の違い
①在職中の取締役・従業員による引き抜き
比較的違法と判断されやすいです。
なぜなら、在職中の従業員や取締役は、会社に対して、「誠実に勤務し、会社の正当な利益を侵害しない」という義務(忠実義務)を負っているからです。
そのため、在職中であるにもかかわらず、ライバル会社(転職先)への移籍を画策して、悪質な引き抜きを行った場合には、違法と判断されやすい傾向にあります。
②元取締役・元従業員(退職者)による引き抜き
違法と判断される難易度はそれなりに高いです。
なぜなら、退職済みの人物は、会社に対する忠実義務は負わないからです。
ただし、裁判例上は、違法と評価されている事例も複数あるため、弁護士に相談の上、対応を検討されるのが良いと思料いたします。
なお、退職済みの人物が、在職中にも勧誘行為をしていた場合には、忠実義務を負っていた時代の、勧誘行為も問題にできるため、違法と判断される可能性は高まります。
③競合他社(ライバル会社)による引き抜き
違法と判断される難易度はかなり高いです。
競合他社が単独でヘッドハンティングを行う場合、基本的には、正当な自由競争の範囲内とみなされるので、違法性を立証するのは容易ではありません。
もっとも、競合他社が、上記①や②の人物と手を組んで、単なるスカウトの域を超えて、悪質な引き抜きを主導したり、これに加担した場合には、共同不法行為者として、損害賠償請求の対象になり得ます。
4.最後に
今回は、従業員の引き抜きが「違法となる基準」や具体例について、解説しました。
実際に、従業員を引き抜かれてしまい、現在まさにお困りの企業もあるかと思います。そこで、次回のコラムでは、従業員を引き抜かれた際に企業が取るべき具体的な対応について、解説していきます。
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販売店の立退料の相場とは?
店舗で販売を行うお店の、立退料の相場はどれぐらいでしょうか。
今回は、借主側で立ち退き案件に注力する弁護士が、販売店の「立ち退き料の相場」について解説します。
1.販売店の立ち退き料の相場について
まず、販売店の立退料が問題となった裁判例を4つ紹介します。
是非、立退料に関するイメージを付けて頂ければと思います。
(1)立退料3237万3000円の事例
東京地裁平成26年12月19日判決は、釣り具販売店店舗の事例で、立退料として3237万3000円を認めました。
■前提情報
使用目的:釣り具販売店店舗
月額賃料:150万円(共益費込み)
賃借期間:36年6か月
■立退料の認定額
3237万3000円
■立退料の内訳(①から⑦の合計額)
①新店舗との差額家賃2年分の補償額:1344万円
②新店舗の保証金との差額2年分の運用益:32万8000円
③新店舗の契約に関する手数料等:103万円
④移転費用:100万円
⑤営業補償費:725万円
⑥内装費補償:715万円
⑦広告宣伝費:217万5000円
(2)立退料3500万円の事例
東京地裁令和3年2月16日判決は、佃煮販売店の事例で、立退料として3500万円を認定しました。
■前提情報
使用目的:佃煮販売店
月額賃料:120万4762円
賃借期間:20年
■立退料の認定額
3500万円
※この事例では、貸主側が2000万円を超えて立退料を支払う意思がないことを明らかにしていたため、裁判での貸主側の請求が棄却されることになり、立ち退きは行われていません。
■立退料の内訳
借家権価格が3億4544万円である一方、対象建物が昭和19年に新築された建物であり建て替えの必要性が高度に認められるとして、借地権価格の約10分の1に相当する3500万円を立退料として認定した。
(3)立退料400万円の事例
東京地裁令和4年4月27日判決は、洋服販売店の事例で、立退料として400万円を認定しました。
■前提情報
使用目的:洋服販売店
月額賃料:9万円
賃借期間:20年3か月
■立退料の認定額
400万円
■立退料の内訳(①から⑤の合計額から一定程度減額)
①借家権価格:280万円
②新店舗との差額家賃3年分:108万円
③新店舗の礼金:12万円
④引っ越し費用:30万円
⑤休業補償:154万8000円
→①から⑤の合計額は584万8000円です。
もっとも、裁判所は、借主が約20年間、敷金、礼金、更新料を支払うことなく、近隣より安価な賃料で店舗を利用してきたことを加味して、立退料を400万円と認定しました。
(4)立退料6億2723万8000円の事例
東京地裁平成29年2月17日判決は、健康食品販売店の事例で、立退料として6億2723万8000円を認めました。
■前提情報
使用目的:健康食品販売店
月額賃料:577万7600円(共益費込み、消費税別)
賃借期間:31年1か月
■立退料の認定額
6億2723万8000円
※当該店舗は、東京の青山にあり、オーガニック製品販売店の草分け的存在でした。
■立退料の内訳(①から⑤の合計額)
①新店舗との差額家賃補償3年:3億0901万6000円
②移転費用(動産移転費):200万円
③内装工事費:2億1040万円
④営業補償費6ヶ月分:9780万円
⑤移転事務費:802万2000円
3.販売店の立退料の相場に関する考察
一般的に、店舗やテナントの立ち退き料の相場は、月額賃料の2年~3年分程度と言われています(執筆弁護士の肌間隔としては、月額賃料の50か月分が目安となっている印象です)。
そして、上記で紹介した4つの販売店の裁判例を見てみると、立退料と月額賃料の対応関係は、下記の形になっています。
(1)立退料3237万3000円の事例→月額賃料22か月分
(2)立退料3500万円の事例→月額賃料29か月分
(3)立退料400万円の事例→月額賃料44か月分
(4)立退料6億2723万8000円の事例→月額賃料109か月分
これらの数字を見ると、販売店の立退料については、一般的な店舗やテナントの立退料よりも低くなる危険があるといえます。
その理由として、販売店の場合、移転費用や移転先の内装工事費用が低額に認定される可能性があることが挙げられます。
販売店で立ち退きを求められた場合には、このような点を把握した上で、立退料に関して適切に主張していくことが重要です。
4.最後に
今回は、販売店の「立退料の相場」について、解説しました。
当事務所は、1983年創業の法律事務所であり、これまで借主側にて、多数の立ち退き案件に携わってきました。
立ち退きを求められてお困りの事業者様は、お気軽に当事務所までご相談ください。

1983年の創業以来、京都市を拠点に企業法務に注力してきました。現在では、東証プライム上場企業から中小企業、ベンチャー企業まで、50社以上の顧問弁護士として継続的なリーガルサービスを提供しています。
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事務所・オフィスの立退料の相場とは?弁護士が解説
今回は、借主側で立ち退き案件に注力する弁護士が、事務所・オフィスの「立ち退き料の相場」について解説します。
1.事務所・オフィスの立ち退き料の相場について
以下では、事務所・オフィスの立退料が問題となった裁判例を紹介します。
是非、立退料に関するイメージを付けて頂ければと思います。
(1)立退料1256万円の事例
東京地裁令和7年1月30日判決は、事務所・オフィスの事例で、立退料として1256万円を認定しました。
■前提情報
使用目的:不動産業者の事務所
月額賃料:47万5760円(管理費込み、消費税別)
賃借期間:56年
■立退料の認定額
1256万円
■立退料の内訳
裁判所は、月額賃料の24か月相当額が妥当であると認定しました。
※この事例では、①建物が耐震性を欠いていて、建替えの必要性があること、②賃貸人から解約申し入れの際に、月額賃料の24か月相当の立退料が提示されていたこと、などを考慮して上記立退料を認定しています。
(2)立退料690万円の事例
東京地裁令和5年10月18日判決は、食品製造・販売業者の事務所の事例で、立退料として690万円を認めました。
■前提情報
使用目的:事務所(食品製造・販売業者)
月額賃料:10万円(消費税別)
賃借期間:13年8か月
■立退料の認定額
690万円
■立退料の内訳(①から③の合計額)
①新規物件との家賃差額補償(2年分):480万円
②新規物件の初期費用(敷金・礼金・仲介手数料・保険料等):180万円
③引っ越し費用:30万円
(3)立退料4055万円の事例
東京地裁令和3年11月10日判決は、事務所の事例で、立ち退き料として、4055万円を認定しました。
■前提情報
使用目的:事務所
月額賃料:56万8000円(消費税別)
賃借期間:5年
■立退料の認定額
4055万円
■立退料の内訳(①から③の合計額を丸めている)
①新規物件との家賃差額補償(2年分+礼金等):1004万8133円
②移転費用:2300万円
③営業補償:750万円
(4)立退料5億5700万円の事例
東京地裁令和2年3月24日判決は、店舗及び事務所の事例で、立退料として、5億5700万円を認めました。
■前提情報
使用目的:店舗及び事務所(1階:生花店に喫茶スペースを併設した「青山フラワーマーケットティーハウス」本店、5階及び6階:本社事務所及び空間デザイン事業のショールーム)
※テナント側は、建物の1階、5階及び6階を借りていました。
月額賃料:627万円(消費税別)
賃借期間:10年
■立退料の認定額
5億5700万円
■立退料の内訳
・1階部分(①から③の合計額を丸めたもの)
①借地権価格:2億2900万円
②移転補償費用:8700万円
③営業補償:3830万円
→3億5400万円
・5階部分(①と②の合計額を丸めたもの)
①借地権価格:2540万円
②移転補償費用+営業補償:8610万円
→1億1150万円(この金額を丸めて、裁判所は、5階部分の立退料を1億1200万円と認定している)
・6階部分(①と②の合計額)
①借地権価格:2080万円
②移転補償費用+営業補償:7020万円
→9100万円
(5)立退料119万100円の事例
東京地裁令和6年7月5日判決は、立退料として119万100円を認定しました。
■前提情報
使用目的:事務室(商品の輸出入事業者)
月額賃料:55万5238円(消費税別)
賃借期間:18年10か月
■立退料の認定額
119万100円
■立退料の内訳
引っ越し費用:119万100円
※この事例は、被告側が裁判に出廷(対応)しなかったため、貸主側の主張通りの立退料が認定されてしまった事例です。
2.事務所・オフィスの立退料の相場に関する考察
一般的に、店舗やテナントの立ち退き料の相場は、月額賃料の2年~3年分程度と言われています(執筆弁護士の肌間隔としては、月額賃料の50か月分が目安となっている印象です)。
そして、事務所・オフィスに関して、上記で紹介した5つの裁判例を見てみると、立退料と月額賃料の対応関係は、下記の形になっています。
(1)立退料1256万円の事例→月額賃料26か月分
(2)立退料690万円の事例→月額賃料69か月分
(3)立退料4055万円の事例→月額賃料71か月分
(4)立退料5億5700万円の事例→月額賃料89か月分
(5)立退料119万100円の事例→月額賃料2か月分
これらの数字を見ると、事務所・オフィスの立退料については、一般的な店舗やテナントの立退料よりも低額になり得る危険があると言えます。
その理由として、事務所・オフィスの場合、①移転により、顧客を喪失すると言いづらい傾向にあり、営業補償等が認められない可能性があること、②移転費用(引っ越し費用・移転先の内装工事費用等)も低額に認定されることが多いこと等が挙げられます。
(5)の月額賃料2か月の事例のように、裁判に全く対応しないのは珍しいと思いますが、事務所の立ち退きの際は、立退料に関して適切に主張していかないと、低額にされる危険があるという点は、ご注意頂いた方がよいです。
3.最後に
今回は、事務所・オフィスの「立ち退き料の相場」について、解説しました。
当事務所は、1983年創業の法律事務所であり、これまで多数の立ち退き案件に携わってきました。
特に、立ち退きを求められた借主側での対応に注力しており、立ち退き案件について、確かな実績とノウハウを確立しております。
立ち退きを求められてお困りの事業者様は、お気軽に当事務所までご相談頂ければと思います。

1983年の創業以来、京都市を拠点に企業法務に注力してきました。現在では、東証プライム上場企業から中小企業、ベンチャー企業まで、50社以上の顧問弁護士として継続的なリーガルサービスを提供しています。
労働問題、債権回収、クレーム対応、契約書のリーガルチェック、事業承継など、企業活動におけるさまざまな課題に対応しており、数億円規模の訴訟案件など、訴訟・紛争案件の解決実績も豊富です。
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スーパーマーケットの立ち退き料の相場とは?
今回は、借主側で立ち退き案件に注力する弁護士が、スーパーマーケットの「立ち退き料の相場」について解説します。
1.スーパーマーケットの立ち退き料の相場について
まずは、スーパーマーケットの立退料が問題となった裁判例を紹介します。
是非、立退料に関するイメージを付けて頂ければと思います。
(1)立退料5億8960万円の事例
東京地裁令和7年4月21日判決は、スーパーマーケットの事例で、立退料として5億8960万円を認めました。
■前提情報
使用目的:ショッピングセンター(オリンピックグループ)
月額賃料:1250万円
賃借期間:25年2か月
■立退料の認定額
5億8960万円
■立退料の内訳(①と②の合計額)
①移転補償額:1億4810万円
②借地権価格:4億4150万円
(2)立退料2億7650万円の事例
東京地裁令和6年4月9日判決は、韓国物産スーパーの事例で、立退料として2億7650万円を認めました。
■前提情報
使用目的:韓国物産スーパー(ハッピー食品)
月額賃料:292万2000円(消費税別)
賃借期間:15年6か月
■立退料の認定額
2億7650万円
■立退料の内訳(①と②の合計額)
①借家権価格(賃料差額):6240万円
②代替物件への移転で通常生じる損失の補償:2億1410万円
(3)立退料5億4663万円の事例
東京地裁令和5年9月25日判決は、立ち退き料として5億4663万円を認定しました。
■前提情報
使用目的:スーパーマーケット(セーヌよしや)
月額賃料:314万8000円(消費税別)
賃借期間:45年1か月
■立退料の認定額
5億4663万円
■立退料の内訳(①から⑦の合計額)
①建物移転補償額:1億0336万3197円
②工作物補償額:409万0619円
③借家人補償額:9281万3003円
④営業休止補償額:3億1943万7375円
⑤動産移転補償額:1303万8400円
⑥仮倉庫補償額:674万4290円
⑦移転雑費補償額:714万2662円
(4)立退料8億3000万円の事例
東京地裁令和5年7月13日判決は、立退料として8億3000万円を認めました。
■前提情報
使用目的:スーパーマーケット(ナチュラルハウス)
月額賃料:582万7600円(消費税別)
賃借期間:37年6か月
■立退料の認定額
8億3000万円
■立退料の内訳(①から③の合計額)
①借地権価格6億0200万円
②移転費用等:1億6350万円
※②の内訳(下記合計額から金額が丸められている)
新店舗の内装、空調工事費用・その他工事費用:1億1350万円
引っ越し料:140万円
代替店舗の仲介手数料等(開店準備期間3か月の賃料補償を含む):4383万6000円
その他諸経費:380万円
移転準備に伴う人件費負担:100万円
③営業補償:6450万円
(5)立退料6億1600万円の事例
東京地裁令和5年3月23日判決は、立退料として6億1600万円を認めました。
■前提情報
使用目的:スーパーマーケット(イトーヨーカドー)
月額賃料:1228万5946円(消費税別)
賃借期間:50年
■立退料の認定額
6億1600万円
■立退料の内訳(①から⑥の合計額の3分の2に相当する金額)
①新店舗との差額家賃2年分の補償額:2億4777万3000円
②保証金2年間の運用益:509万7000円
③仲介手数料:2173万2570円
④移転費用補償額;2億3188万3000円
⑤移転先内装工事費用:2億464万3000円
⑥営業補償額:2億1308万3000円
※裁判所は、上記①から⑥の合計額(9億2421万1570円)は、賃貸人の一方的な都合で退去を迫られた場合を想定した基準に基づくものであり、これをそのまま採用できないとしました。その上で、上記合計額の3分の2に相当する6億1600万円が立退料として相当であると判断しています。
3.スーパーマーケットの立退料の相場に関する考察
一般的に、店舗やテナントの立ち退き料の相場は、月額賃料の2年~3年分程度と言われています(執筆弁護士の肌間隔としては、月額賃料の50か月分が目安となっている印象です)。
そして、上記で紹介した5つのスーパーマーケットの裁判例を見てみると、月額賃料と立退料の対応関係は、下記の形になっています。
(1)立退料5億8960万円の事例→月額賃料47か月分
(2)立退料2億7650万円の事例→月額賃料95か月分
(3)立退料5億4663万円の事例→月額賃料174か月分
(4)立退料8億3000万円の事例→月額賃料142か月分
(5)立退料6億1600万円の事例→月額賃料50か月分
これらの数字を見ると、スーパーマーケットの立退料については、一般的な店舗やテナントの立退料よりも高額となる傾向にあるといえます。
その理由として、スーパーマーケットの場合、移転に要する費用や移転先の内装工事費用、営業補償額が高額になるためであると考えられます。
また、上記5つの事例の中では、立退料が月額賃料の47か月~174か月までとかなりばらつきが出ていますが、これは、低い事例((1)と(5)の事例)の場合、月額賃料自体が1200万円以上とかなり高額であることが理由であり、本質的な差ではないと考えています。
4.最後に
今回は、スーパーマーケットの「立ち退き料の相場」について、解説しました。
当事務所は、1983年創業の法律事務所であり、これまで多数の立ち退き案件に携わってきました。
特に、立ち退きを求められた借主側での対応に注力しており、立ち退き案件について、確かな実績とノウハウを確立しております。
立ち退きを求められてお困りの事業者様は、お気軽に当事務所までご相談頂ければと思います。

1983年の創業以来、京都市を拠点に企業法務に注力してきました。現在では、東証プライム上場企業から中小企業、ベンチャー企業まで、50社以上の顧問弁護士として継続的なリーガルサービスを提供しています。
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歯科医院の立ち退き料の相場とは?弁護士が解説
今回は、借主側で立ち退き案件に注力する弁護士が、歯科医院の「立ち退き料の相場」について解説します。
1.歯科医院の立退料の相場について
まずは、歯科医院の立退料が問題となった裁判例を紹介します。
これで、立退料に関するイメージを付けて頂ければと思います。
(1)立退料2億円の事例
東京地裁令和元年12月4日判決は、歯科医院の事例で、立退料として2億円を認めました。
■前提情報
使用目的:歯科医院
月額賃料:46万5700円(共益費込み、消費税別)
賃借期間:15年
■立退料の認定額
2億円
※歯科医院側(テナント側)の主張額は、4億5932万円であった。
■立退料の内訳(①から③の合計額の2倍弱の金額)
①移転先新規医院開設費用5731万8306円
②借地権価格5120万円
③補償費895万6728円
※裁判所は、上記①から③の合計額(1億1747万5034円)の、2倍弱に相当する金額が立退料として相当であると判断しました。
(2)立退料5223万0616円の事例
東京地裁令和元年10月8日判決は、歯科医院の事例で、立退料として5223万0616円を認めました。
■前提情報
使用目的:歯科医院
月額賃料:21万2760円(共益費込み、消費税別)
賃借期間:31年4か月
■立退料の認定額
5223万0616円
■立退料の内訳(①から④の合計額)
①転居費用
②設備投資費用
③休業補償売上補償
④借家権補償
※判決理由内で、①から④の各項目の詳細金額が示されていないため、金額を記載していません。
(3)立退料2080万円の事例
東京地裁令和4年5月31日判決は、歯科医院の事例で、立ち退き料として2080万円を認定しました。
■前提情報
使用目的:歯科医院
月額賃料:26万8300円(共益費込み、消費税別)
賃借期間:6年6か月
■立退料の認定額
2080万円
■立退料の内訳(①と②の合計額)
①借地権価格950万円
②建物移転により生じる損失額1130万円
(4)立退料3760万円の事例
東京地裁平成26年10月8日判決は、歯科医院の事例で、立退料として3760万円を認めました。
■前提情報
使用目的:歯科医院
月額賃料:60万3030円(共益費込み、消費税別)
賃借期間:9年10か月(但し、先代の時代から含めれば43年7か月になる)
■立退料の認定額
3760万円
■立退料の内訳(①と②の合計額の50%の金額)
①公共用地の取得に伴う損失補償基準による算出額3720万円
②移転に伴う新たな診療機器等購入費用3800万円
※裁判所は、上記①と②の合計額(7520万円)の50%に相当する金額が、立退料として相当であると判断しました。
このような減額をした理由は、この歯科医院が先代から相続されたものですが、その相続人である夫は別の場所で歯科医院を開業しており、その元妻がこの歯科医院を経営しているためであると考えられます。
(5)立退料6000万円の事例
東京地裁平成25年1月25日判決は、歯科医院の事例で、立退料として6000万円を認めました。
■前提情報
使用目的:歯科医院
月額賃料:24万円(消費税別)
賃借期間:29年9か月
■立退料の認定額
6000万円
■立退料の内訳(①から③の合計額)
①動産移転補償、借家人補償、移転雑費補償合計746万3000円
②工作物補償3299万3000円
③営業休止補償1682万5200円
※裁判所は、上記①から③の合計額(5728万1200円)から、貸主自身が立退料として6000万円の支払いを申し出ていたことを考慮して、6000万円が相当であると判断しました。
3.歯科医院の立退料の相場に関する考察
一般的に、店舗やテナントの立ち退き料の相場は、月額賃料の2年~3年分程度と言われています(執筆弁護士の肌間隔としては、月額賃料の50か月分が目安となっている印象です)。
そして、上記で紹介した5つの歯科医院の裁判例を見てみると、月額賃料と立退料の対応関係は、下記の形になっています。
(1)立退料2億円の事例→月額賃料429か月分
(2)立退料5223万0616円の事例→月額賃料245か月分
(3)立退料2080万円の事例→月額賃料77か月分
(4)立退料3760万円の事例→月額賃料62か月分
(5)立退料6000万円の事例→月額賃料250か月分
これらの数字を見ると、歯科医院の立退料については、一般的な店舗やテナントの立退料よりも高額な数字となっています。
その理由としては、歯科医院の場合、新しい場所で開業するための診療機器が高額であり、この診療機器の補償額(新規購入額)が高額になるためであると考えられます。
また、上記5つの事例の中では、立退料が月額賃料の245か月以上になるものが3つです。反対に、立退料が、月額賃料の62か月分や77か月分にしかならないものが2つあります。
このような差ができた理由としては、低い事例の場合、新たな場所で開業するための診療機器補償費用が低額になってしまっていたり((3)の事例)、特殊事情により裁判所から立退料を半減されたためであると考えられます((4)の事例)。
歯科医院の立ち退き事案において、歯科医院側で主張すべき内容については、事例ごとに異なってきます。そのため、オーナーから立ち退きを求められた際には、早期に弁護士に相談されることをお勧めいたします。
4.最後に
今回は、歯科医院の「立ち退き料の相場」について、解説しました。
当事務所は、1983年創業の法律事務所であり、これまで多数の立ち退き案件に携わってきました。
特に、立ち退きを求められた借主側での対応に注力しており、立ち退き案件について、確かな実績とノウハウを確立しています。
立ち退きを求められてお困りの事業者様は、お気軽に当事務所にご相談頂ければと思います。

1983年の創業以来、京都市を拠点に企業法務に注力してきました。現在では、東証プライム上場企業から中小企業、ベンチャー企業まで、50社以上の顧問弁護士として継続的なリーガルサービスを提供しています。
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