企業経営をしていく中で、自社の元役員・元従業員から、自社の従業員が引き抜かれることもあります。
このような場合に、会社はどのような対応を取ればよいのでしょうか。
今回は、従業員を引き抜かれた時に会社が取るべき対応について、企業側で労働問題に注力する弁護士が解説します。
このページの目次
1.従業員の引き抜きが「違法となる基準」について
まず、従業員の引き抜きが違法となるか否かの基準について、簡単に解説します。
裁判例では、抜き抜き行為が単なる勧誘の範囲を超えて、「社会的相当性を逸脱した背信的な引き抜き行為である」場合には、違法であり、損害賠償請求が認められるとしています。
つまり適法か違法かを分ける最大の基準は、その引き抜きが、「社会通念上、許される範囲(社会的相当性)を超えて悪質といえるか否か」です。
より詳しい内容については、下記コラムにて詳細に解説していますので、気になる方は、是非参考にされてください。
■参考コラム
2.従業員が引き抜かれた際の対処法
以下では、従業員が引き抜かれた際に、会社がどのように対応していけばよいかについて、解説します。
(1)現状確認
まずは、現状確認を行うことが重要であり、具体的には、次のような事項を確認することになります。
①誰が引き抜きを行ったのか
②いつ頃から引き抜きが始まったのか
③どのような方法で引き抜きが行われたのか
④自社の従業員が何人引き抜かれたのか
⑤引き抜かれた従業員は、現在どこで働いているのか
⑥引き抜かれた従業員以外にも勧誘を受けた従業員がいないか(いる場合には当該従業員に①から③についても確認する)
⑦現在も相手方の引き抜き活動が継続していないか
近い時期で自社の従業員が引き抜かれている場合には、今現在も、所属している従業員に対して同様の働きかけが行われている可能性があるため、注意が必要です。
(2)証拠の収集
次に、引き抜きに関する証拠を収集します。
例えば、以下のような資料が証拠となる可能性があります。
・メール
・チャットツールのメッセージ
・LINE等のSNSのやり取り
・通話履歴
・録音データ
・関係者の証言
・引き抜き相手の会社のSNSなど(引き抜かれた従業員が掲載されていることがあります)
相手方の勧誘を断った従業員が自社にいる場合、その従業員が証拠を持っていることも多いです。
(3)損害賠償請求等の検討
確認した事実や証拠を踏まえて、相手方に損害賠償請求等の法的手段を行うか否かを検討することになります。損害賠償請求を行う場合には、引き抜きによって自社に発生した損害についても、検討していきます。
①損賠賠償請求等の法的手段をとるか、②事実確認や、証拠収集をどのように行うかについては、引き抜き問題に精通する弁護士への相談が肝要です。
(4)内容証明郵便の送付
損害賠償請求等の法的手段を行う場合には、相手方に対して内容証明郵便を送付することになります。
適切に法的手段を行使するためにも、弁護士に依頼をして、内容証明郵便を作成してもらった方がよいです。
内容証明送付後の流れですが、多くのケースでは、相手方にも弁護士が就任し、弁護士同士でやり取りを行っていくことになります。
そして、弁護士同士で交渉の上、双方で条件面での折り合いがつけば、合意書が作成されることになります。
他方、双方で合意形成ができない場合、多くのケースでは、事前の交渉を打ち切り、請求者側が訴訟提起を行っていくことになります。
3.最後に
今回は、従業員を引き抜かれた時に会社が取るべき対応について、解説しました。
従業員の引き抜き問題があった場合には、その際の対応が重要なことはもちろんですが、その後の予防策も重要になります。なぜなら、一度、従業員の引き抜き問題が発生した会社の場合、適切な対応を取っておかないと、その後も同じ問題が発生するケースも多いためです。そこで、次回のコラムでは、従業員の引き抜きに対して会社が取るべき予防策について、解説します。
当事務所は、1983年の創業以来、企業の顧問弁護士として、多くの労働紛争を解決して参りました。
今回のような、従業員の引き抜き案件についても、多数の対応実績がありますので、お困りの企業様は、お気軽に当事務所までご相談ください。

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