店舗で販売を行うお店の、立退料の相場はどれぐらいでしょうか。
今回は、借主側で立ち退き案件に注力する弁護士が、販売店の「立ち退き料の相場」について解説します。
このページの目次
1.販売店の立ち退き料の相場について
まず、販売店の立退料が問題となった裁判例を4つ紹介します。
是非、立退料に関するイメージを付けて頂ければと思います。
(1)立退料3237万3000円の事例
東京地裁平成26年12月19日判決は、釣り具販売店店舗の事例で、立退料として3237万3000円を認めました。
■前提情報
使用目的:釣り具販売店店舗
月額賃料:150万円(共益費込み)
賃借期間:36年6か月
■立退料の認定額
3237万3000円
■立退料の内訳(①から⑦の合計額)
①新店舗との差額家賃2年分の補償額:1344万円
②新店舗の保証金との差額2年分の運用益:32万8000円
③新店舗の契約に関する手数料等:103万円
④移転費用:100万円
⑤営業補償費:725万円
⑥内装費補償:715万円
⑦広告宣伝費:217万5000円
(2)立退料3500万円の事例
東京地裁令和3年2月16日判決は、佃煮販売店の事例で、立退料として3500万円を認定しました。
■前提情報
使用目的:佃煮販売店
月額賃料:120万4762円
賃借期間:20年
■立退料の認定額
3500万円
※この事例では、貸主側が2000万円を超えて立退料を支払う意思がないことを明らかにしていたため、裁判での貸主側の請求が棄却されることになり、立ち退きは行われていません。
■立退料の内訳
借家権価格が3億4544万円である一方、対象建物が昭和19年に新築された建物であり建て替えの必要性が高度に認められるとして、借地権価格の約10分の1に相当する3500万円を立退料として認定した。
(3)立退料400万円の事例
東京地裁令和4年4月27日判決は、洋服販売店の事例で、立退料として400万円を認定しました。
■前提情報
使用目的:洋服販売店
月額賃料:9万円
賃借期間:20年3か月
■立退料の認定額
400万円
■立退料の内訳(①から⑤の合計額から一定程度減額)
①借家権価格:280万円
②新店舗との差額家賃3年分:108万円
③新店舗の礼金:12万円
④引っ越し費用:30万円
⑤休業補償:154万8000円
→①から⑤の合計額は584万8000円です。
もっとも、裁判所は、借主が約20年間、敷金、礼金、更新料を支払うことなく、近隣より安価な賃料で店舗を利用してきたことを加味して、立退料を400万円と認定しました。
(4)立退料6億2723万8000円の事例
東京地裁平成29年2月17日判決は、健康食品販売店の事例で、立退料として6億2723万8000円を認めました。
■前提情報
使用目的:健康食品販売店
月額賃料:577万7600円(共益費込み、消費税別)
賃借期間:31年1か月
■立退料の認定額
6億2723万8000円
※当該店舗は、東京の青山にあり、オーガニック製品販売店の草分け的存在でした。
■立退料の内訳(①から⑤の合計額)
①新店舗との差額家賃補償3年:3億0901万6000円
②移転費用(動産移転費):200万円
③内装工事費:2億1040万円
④営業補償費6ヶ月分:9780万円
⑤移転事務費:802万2000円
3.販売店の立退料の相場に関する考察
一般的に、店舗やテナントの立ち退き料の相場は、月額賃料の2年~3年分程度と言われています(執筆弁護士の肌間隔としては、月額賃料の50か月分が目安となっている印象です)。
そして、上記で紹介した4つの販売店の裁判例を見てみると、立退料と月額賃料の対応関係は、下記の形になっています。
(1)立退料3237万3000円の事例→月額賃料22か月分
(2)立退料3500万円の事例→月額賃料29か月分
(3)立退料400万円の事例→月額賃料44か月分
(4)立退料6億2723万8000円の事例→月額賃料109か月分
これらの数字を見ると、販売店の立退料については、一般的な店舗やテナントの立退料よりも低くなる危険があるといえます。
その理由として、販売店の場合、移転費用や移転先の内装工事費用が低額に認定される可能性があることが挙げられます。
販売店で立ち退きを求められた場合には、このような点を把握した上で、立退料に関して適切に主張していくことが重要です。
4.最後に
今回は、販売店の「立退料の相場」について、解説しました。
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