今回は、借主側で立ち退き案件に注力する弁護士が、スーパーマーケットの「立ち退き料の相場」について解説します。
このページの目次
1.スーパーマーケットの立ち退き料の相場について
まずは、スーパーマーケットの立退料が問題となった裁判例を紹介します。
是非、立退料に関するイメージを付けて頂ければと思います。
(1)立退料5億8960万円の事例
東京地裁令和7年4月21日判決は、スーパーマーケットの事例で、立退料として5億8960万円を認めました。
■前提情報
使用目的:ショッピングセンター(オリンピックグループ)
月額賃料:1250万円
賃借期間:25年2か月
■立退料の認定額
5億8960万円
■立退料の内訳(①と②の合計額)
①移転補償額:1億4810万円
②借地権価格:4億4150万円
(2)立退料2億7650万円の事例
東京地裁令和6年4月9日判決は、韓国物産スーパーの事例で、立退料として2億7650万円を認めました。
■前提情報
使用目的:韓国物産スーパー(ハッピー食品)
月額賃料:292万2000円(消費税別)
賃借期間:15年6か月
■立退料の認定額
2億7650万円
■立退料の内訳(①と②の合計額)
①借家権価格(賃料差額):6240万円
②代替物件への移転で通常生じる損失の補償:2億1410万円
(3)立退料5億4663万円の事例
東京地裁令和5年9月25日判決は、立ち退き料として5億4663万円を認定しました。
■前提情報
使用目的:スーパーマーケット(セーヌよしや)
月額賃料:314万8000円(消費税別)
賃借期間:45年1か月
■立退料の認定額
5億4663万円
■立退料の内訳(①から⑦の合計額)
①建物移転補償額:1億0336万3197円
②工作物補償額:409万0619円
③借家人補償額:9281万3003円
④営業休止補償額:3億1943万7375円
⑤動産移転補償額:1303万8400円
⑥仮倉庫補償額:674万4290円
⑦移転雑費補償額:714万2662円
(4)立退料8億3000万円の事例
東京地裁令和5年7月13日判決は、立退料として8億3000万円を認めました。
■前提情報
使用目的:スーパーマーケット(ナチュラルハウス)
月額賃料:582万7600円(消費税別)
賃借期間:37年6か月
■立退料の認定額
8億3000万円
■立退料の内訳(①から③の合計額)
①借地権価格6億0200万円
②移転費用等:1億6350万円
※②の内訳(下記合計額から金額が丸められている)
新店舗の内装、空調工事費用・その他工事費用:1億1350万円
引っ越し料:140万円
代替店舗の仲介手数料等(開店準備期間3か月の賃料補償を含む):4383万6000円
その他諸経費:380万円
移転準備に伴う人件費負担:100万円
③営業補償:6450万円
(5)立退料6億1600万円の事例
東京地裁令和5年3月23日判決は、立退料として6億1600万円を認めました。
■前提情報
使用目的:スーパーマーケット(イトーヨーカドー)
月額賃料:1228万5946円(消費税別)
賃借期間:50年
■立退料の認定額
6億1600万円
■立退料の内訳(①から⑥の合計額の3分の2に相当する金額)
①新店舗との差額家賃2年分の補償額:2億4777万3000円
②保証金2年間の運用益:509万7000円
③仲介手数料:2173万2570円
④移転費用補償額;2億3188万3000円
⑤移転先内装工事費用:2億464万3000円
⑥営業補償額:2億1308万3000円
※裁判所は、上記①から⑥の合計額(9億2421万1570円)は、賃貸人の一方的な都合で退去を迫られた場合を想定した基準に基づくものであり、これをそのまま採用できないとしました。その上で、上記合計額の3分の2に相当する6億1600万円が立退料として相当であると判断しています。
3.スーパーマーケットの立退料の相場に関する考察
一般的に、店舗やテナントの立ち退き料の相場は、月額賃料の2年~3年分程度と言われています(執筆弁護士の肌間隔としては、月額賃料の50か月分が目安となっている印象です)。
そして、上記で紹介した5つのスーパーマーケットの裁判例を見てみると、月額賃料と立退料の対応関係は、下記の形になっています。
(1)立退料5億8960万円の事例→月額賃料47か月分
(2)立退料2億7650万円の事例→月額賃料95か月分
(3)立退料5億4663万円の事例→月額賃料174か月分
(4)立退料8億3000万円の事例→月額賃料142か月分
(5)立退料6億1600万円の事例→月額賃料50か月分
これらの数字を見ると、スーパーマーケットの立退料については、一般的な店舗やテナントの立退料よりも高額となる傾向にあるといえます。
その理由として、スーパーマーケットの場合、移転に要する費用や移転先の内装工事費用、営業補償額が高額になるためであると考えられます。
また、上記5つの事例の中では、立退料が月額賃料の47か月~174か月までとかなりばらつきが出ていますが、これは、低い事例((1)と(5)の事例)の場合、月額賃料自体が1200万円以上とかなり高額であることが理由であり、本質的な差ではないと考えています。
4.最後に
今回は、スーパーマーケットの「立ち退き料の相場」について、解説しました。
当事務所は、1983年創業の法律事務所であり、これまで多数の立ち退き案件に携わってきました。
特に、立ち退きを求められた借主側での対応に注力しており、立ち退き案件について、確かな実績とノウハウを確立しております。
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