リーガルチェックで契約トラブルを未然に防ぐ方法

企業活動における契約トラブルの多くは、契約書の不備が原因で起こります。

契約書を適切に交わすためにはリーガルチェックを行うことが重要ですが、単に契約書の形式や内容を確認するだけでは、契約トラブルを防止しきれないこともあります。

そこで、今回は、契約トラブルの事前防止策としてリーガルチェックで押さえるべきポイントや、リーガルチェックの依頼先などについてご説明いたします。

契約書の不備で起こりやすい契約トラブル

契約書に不備があると多種多様な契約トラブルが生じる可能性がありますが、特に起こりやすいトラブルとして以下のものが挙げられます。

(1)形式の不備により契約の目的を果たせない

契約書の形式面の不備により、意図した契約内容が正しく読み取れないことが数多くあります。

単純な誤字・脱字でも、契約金額や対象物の数量、納期の年月日などを書き間違えると、自社に大きな損害が及ぶことになりかねません。

誤字・脱字がなくても、複数の意味に解釈できるような曖昧な文章を記載したために、契約の相手方が異なる意味に解釈することも多いです。

各条項の文章は正しく記載されていても、相互に矛盾する内容となっているために契約の目的を果たせないこともあります。

(2)当事者双方の認識の違いにより契約後に揉める

契約書の文章には特有の言い回しがありますし、専門的な法律用語や、業界特有の用語も多用されます。

そのため、各文章の意味や専門用語の意味を当事者双方が正しく理解していなければ、契約後に揉めることにもなりかねません。

例えば、「悪意」という言葉は、法律用語として使われる場合には「知っている」ことを意味します。

しかし、契約の相手方は必ずしも法律用語を理解しているわけではないので、積極的に害を加える意志がなければ「悪意」には該当しないと解釈する可能性があります。

そのため、場合によっては、極力、専門用語を使用せずに、リーガルチェックを行うことを視野に入れるべきです。

(3)契約が違法・無効となる

法律上のルールを十分に確認しないまま契約書を作成すると、法律違反の契約を結んでしまうことにもなりかねません。その内容次第では、契約全体が無効となってしまうおそれもあります。

契約が無効となると、予定した利益を得ることができません。のみならず、契約が無効となったことで相手方に損害が発生した場合には、多額の損害賠償義務を負わなければならないこともあります。

契約トラブル防止のためにリーガルチェックで押さえるべきポイント

いったん契約トラブルが発生すると、会社にはトラブル処理のために時間や労力、コストの負担が生じてしまいます。そのため、リーガルチェックによって事前に契約リスク管理を行うことが重要になります。

トラブル回避のために、リーガルチェックでは以下のポイントを押さえましょう。

(1)誤字・脱字はないか

基本的なことですが、誤字・脱字のチェックは非常に重要です。

契約内容の重要な部分に誤字・脱字があると自社に多大な損害が及ぶおそれがあるだけでなく、誤字・脱字が多い契約書を作成したのでは、取引先からの信頼を失うおそれもあります。

契約書を作成したら、相手方に提示する前に何度も誤字・脱字を確認しましょう。できる限り、複数人でチェックすることが望ましいです。

(2)専門用語を正しく使用しているか

法律用語や業界用語を、よく意味が分からないまま使用することは、契約トラブルを招く大きな原因となります。あまり日常で使用しない用語については、必ず意味を調べて正しく使用することが重要です。

業界用語の中には、あいまいな意味合いで何となく使用されているものもあるでしょう。

そのような用語を使用する場合には、「定義規定」を設けて、「本契約書において○○とは、△△のことを意味する」と、用語の意味を明確に定めておくことが有効です。

(3)自社に不当に不利な契約内容になっていないか

相手方が作成した契約書にサインを求められた場合は特に、自社に不当に不利な契約内容になっていないかを確認する必要があります。

ビジネス上の取引においては、どの会社もできる限り自社に有利な契約を結びたいと考えるものです。相手方から示された契約書には、細部まで確認しなければ自社に一方的に不利な条項が盛り込まれていることも少なくありません。

不当に不利な条項があった場合は相手方と協議し、業界の相場に照らして妥当な内容への修正を求めるべきです。

(4)各種法律に適合しているか

契約書の内容は、当然ながら法律を守ったものでなければなりません。契約書に記載したすべての条項が、各種法律に適合しているかを確認しましょう。

各種法律に適合した契約書を作成するためには、法改正の内容も知っておく必要があります。

企業間の取引で一般的に適用される民法や商法もたびたび改正されますが、業界ごとに適用される個別の法律は、さらに頻繁に改正されることがあります。

以前は適法だった契約内容でも、現在においては違法となることもありますので、契約書を作成するたびに最新の法改正の情報をチェックすべきでしょう。

(5)トラブル発生時の対応方法が記載されているか

契約書には、万が一、トラブルが発生した場合にどうするのかを定めておくことも重要です。

例えば、不測の事態で納品が間に合わないといったトラブルが起こることもあるでしょう。このような場合に備えて、代金を減額したり、一定期間は納品を猶予したり、契約を終了することにしたりなど、適切な対応方法をあらかじめ定めておきましょう。

契約に違反した場合の違約金や、損害賠償問題を裁判で解決する場合の管轄裁判所なども定めておくのが一般的です。

リーガルチェックは弁護士への依頼がおすすめ

契約トラブルを未然に防ぐために重要なリーガルチェックは、外部の弁護士へ依頼することをおすすめします。

社内に法務部があれば良いですが、多くの中小企業の場合、そこまでの体制を整えることは現実的ではありませんし、実際、上場企業の中にも、法務部がない企業は少なくありません。

また、社内に法務部があったとしても、特に重要な契約書の場合には、外部の弁護士に確認を求めた方が無難です。

近年では、AIを活用してリーガルチェックを行うことも可能となっていますが、個別の案件ごとに想定されるリスクを抽出し、そのリスクへの対応策まで契約書に盛り込むことは難しいのが現実です。

現在のところ、リーガルチェックを最も適切に行えるのは、企業法務の経験が豊富な弁護士です。企業法務に注力している弁護士と顧問契約を結び、自社の業務状況を把握してもらえば、よりスムーズにリーガルチェックを受けることが可能となります。

当事務所では、1983年の創業以来、東証プライム上場企業から中小企業、個人事業主の方の顧問弁護士として、これまで数多くの契約書のリーガルチェックを行ってきました。

以下は、当事務所がこれまでリーガルチェックを行った契約書の一例です。

  • 売買契約書
    (不動産売買など) 
  • 交換契約書 
  • 賃貸借契約書
    (事業用定期借地権設定契約書、定期建物賃貸借契約書、一時使用賃貸借契約書、基本合意書など) 
  • リース契約書 
  • 取引基本契約書 
  • 請負契約書 
  • 金銭消費貸借契約書 
  • 抵当権設定契約書 
  • 保証契約書 
  • 業務委託契約書 
  • 業務提携契約書 
  • 労働契約書 
  • 産業医委嘱契約書 
  • M&Aに関する契約書
    (事業譲渡契約書、吸収分割契約書、株式譲渡契約書など) 
  • 販売店契約書 
  • 代理店契約書 
  • パブリシティ商品化契約書 
  • ソフトウェア開発契約書 
  • 特許実施許諾契約書 
  • フランチャイズ契約書 
  • 運送契約書 
  • 秘密保持契約書

上記はあくまで一例であり、日々、リーガルチェックを行っておりますので、企業が関与する契約書であれば、おおよそ対応経験があるのではないかと自負しております。

また、当事務所の場合、企業を当事者とする裁判経験も豊富にあるため、裁判になった場合にも対応できるように、リーガルチェックを行うことが可能です。

リーガルチェックで契約トラブルを未然に防ぐことは、企業活動を円滑に進めるに当たって非常に重要です。リーガルチェックに関するご相談がありましたら、お気軽に当事務所までご連絡下さい。

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