クレーマー対応の現場で役立つ法的サポートと顧問弁護士の活用法

近年、企業に対する、顧客や取引先からの理不尽なクレームが増加しており、社会問題化しています。

悪質なクレーマーから、自社や従業員を守るためには、法的措置を視野に入れた上で、毅然とした態度で対応することが重要です。

そこで、今回は、クレーマー対応に有効な法的サポートの内容や、クレーマー被害を防止するための顧問弁護士の活用法などについて、ご説明します。

クレーマーへの基本的な対処法

ひと口にクレームと行っても、正当なクレームと、カスタマーハラスメント(略して「カスハラ」)に該当するような理不尽なクレームとを、区別して対処する必要があります。

正当なクレームと理不尽なクレームとの違いを判断するのは難しいケースもありますが、厚生労働省がカスハラについて、以下の定義を打ち出していることが参考になるでしょう。

「顧客等からのクレーム・言動のうち、当該クレーム・言動の要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって、当該手段・態様により、労働者の就業環境が害されるもの」

要は、企業が悪くないのにクレームを入れてくるなど、要求の内容が妥当性を欠く場合や、土下座を要求してきたり、従業員を攻撃してきたりするなど、自身の要求を実現する手段・対応が不相当なものは、理不尽なクレームに該当するのです。

正当なクレームに対しては、会社の経営者や担当者は必要に応じて相手に謝罪した上で、商品やサービスの質の向上や、接客対応の改善などに努める必要があります。

しかし、理不尽なクレームに対しては泣き寝入りせず、毅然とした態度で対応しなければなりません。

クレーマー対応に役立つ法的サポート

悪質なクレーマーに対して、会社側の担当者などが感情的になって応戦することは控えるべきです。

なぜなら、現代では、SNSで、担当者が感情的になって応戦する部分だけを切り取って、拡散されるリスクもあるためです。

悪質なクレーマーに対しては、法的対応も視野に入れるべきです。

弁護士にクレーマー対応を依頼した場合には、以下のような法的サポートが受けられます。

(1)クレーマーとの交渉

弁護士は、会社の代理人として、不当なクレームを止めるように警告する内容の文書を作成し、内容証明郵便でクレーマー宛に送付します。

弁護士名義の警告文書を送付するだけで、理不尽なクレームが止まることも多いです。

それでもクレームが止まらない場合には、弁護士がクレーマーに電話をしたりして、クレームを止めるように交渉します。

(2)損害賠償請求などの訴訟

話し合いで解決しなかった場合には、民事訴訟などの法的措置に進みます。

執拗なクレームによって業務が停滞して損失が生じたり、SNSで悪評を流されたりして業績が悪化した場合などは、弁護士がクレーマーに対する、損害賠償請求訴訟の提起を検討します。

また、悪質なクレームを止めるために、弁護士が債務不存在確認訴訟を提起することもあります。債務不存在確認訴訟とは、訴える側が、相手の要求に応じる義務を負わないことを、裁判所に確認してもらうための訴訟のことです。

例えば、顧客が言いがかりで、返金を要求して引かない場合、債務不存在確認訴訟を提起して勝訴すれば、会社には返金義務がないことを裁判所に認めてもらうことが可能です。

(3)誹謗中傷コメントなどの削除請求

SNSなどに会社に対する誹謗中傷コメントなどを投稿された場合には、弁護士が削除請求の手続きを行います。

サイト管理者やプロバイダが削除に応じない場合には、裁判所に対する仮処分の申し立てや、発信者情報開示請求の申し立てなど、複雑な手続きを要することもありますが、弁護士が速やかに進めていきます。

(4)警察への被害届や刑事告訴

顧客による暴行や脅迫、強要、業務妨害、つきまといなどの犯罪被害が生じた場合には、警察への被害届や刑事告訴などの手続きを弁護士がサポートします。

警察は、重大事案でなければ本格的に動かないことも多いですが、弁護士が介入することで、警察が動き出す可能性が高まります。

クレーマー対応で顧問弁護士を活用する方法

クレーマーに対する法的対応は弁護士に依頼するのが得策ですが、単発で依頼するよりも顧問弁護士を導入した方が、より高い効果を期待できます。

具体的には、クレーマー対応で、以下のように顧問弁護士を活用することが有効です。

(1)顧問弁護士がいるだけでクレームの予防になることも

継続的に取引している相手方などは、企業に顧問弁護士が付いていることが分かれば、理不尽なクレームを言いにくくなります。

現場の従業員が適切に対応しても、クレームを止めない顧客に対しては、「顧問弁護士が対応するなと言っています」と告げれば、相手方が諦めて、クレームを止めることも多いです。

(2)法的措置を任せる

実際に悪質なクレームが発生した場合には、クレーマーへの内容証明郵便の送付から交渉、必要に応じて訴訟などの法的措置に至るまでのトラブル対応について、一切のことを顧問弁護士に任せることができます。

経営者や役員、現場の従業員などの負担が大幅に軽減されますので、本来の業務に集中することが可能です。

(3)事前のクレーム対策を依頼する

企業は、事前にクレーム被害を防止するための対策をとっておくことも重要です。

事業主は従業員に対する安全配慮義務(労働者が生命・身体の安全を確保して働けるように配慮すべき義務)を負っています。対策が不十分なまま、クレームによる被害が発生すると、会社から従業員に対する損害賠償義務が生じることもあります。

具体的なクレーム対策としては、クレーマー対応マニュアルを作成して従業員に配布し、さらに社内研修を実施して周知・啓発することが有効です。

また、現場の従業員がクレーマーに遭遇したときの相談先を事前に定めておくことと、その相談があった際に適切に対応するための体制を整えておくことも重要です。

ただ、適切なクレーム対策の内容は業種によっても異なりますし、各企業の状況などによっても異なります。

顧問弁護士には、クレーム対策のサポートを依頼することも可能です。

顧問弁護士は日頃から会社の実情を把握していますので、自社の実情に応じてクレーム対策を整備してもらいましょう。

顧問弁護士をお考えの方は当事務所まで

理不尽なクレーマーへの対応は難しいことも多いですが、社内だけで抱え込まずに、顧問弁護士を活用いただくことをおすすめいたします。

当事務所は、1983年の創業以来、東証プライム上場企業から中小企業、個人事業主の方の顧問弁護士として、多くのご相談をお受けしてきました。

その中には、悪質なクレーマーへの対応も含まれており、クレーマー対策についても熟知していると自負しております。

クレーマーへの対応経験も豊富に有しておりますので、きっとお役に立てると思います。

もし、顧問弁護士をお考えであれば、お気軽に当事務所までご相談下さい。

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