近年、企業やお店において、理不尽な要求を繰り返す、クレーマーへの対応に苦慮されているケースが増えています。
そこで、今回は、クレーマーからの理不尽な要求を防ぐための法的対応について、ご説明いたします。
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刑事での法的対応
クレーマーへの法的対応には、大きく分けて、民事的な対応と刑事的な対応の2種類があります。
最適な対応方法は状況によって異なりますが、現場の担当者が身の危険を感じるような差し迫った状況においては、刑事的な対応の方が有効となることが多いです。
(1)警察への通報
クレーマーによる次のような行為は、犯罪に該当する可能性があるので、警察への通報を検討するとよいでしょう。
罪名 | 具体的な行為の例 |
威力業務妨害罪 | 大声で騒ぐことや、長時間に及ぶクレーム、執拗なクレームなどにより、業務の遂行を妨害する行為 |
信用毀損罪 | 虚偽の悪評をSNSなどで拡散するなどして、企業や従業員の信用を低下させる行為 |
名誉毀損罪 | 真実かどうかを問わず、悪評をSNSなどで拡散するなどして、企業や従業員の名誉を侵害する行為 |
暴行罪 | 従業員に対して、殴る・蹴るなどの暴力を振るう、肩を押す、胸ぐらをつかむ、物を投げつけるなどの行為 |
傷害罪 | 暴行の結果、相手を怪我させる行為 |
脅迫罪 | 「店に火をつけるぞ」「ネットで悪評を流すぞ」などと、害悪を告知して脅す行為 |
恐喝罪 | 「返金しろ」「慰謝料を払え」などと、暴行または脅迫を用いて金品を要求する行為 |
強要罪 | 「土下座しろ」「自宅まで謝罪に来い」などと、義務のないことを強要する行為 |
不退去罪 | 会社や店舗からの退去を求められたにもかかわらず居座る行為 |
(2)刑事告訴
上記のような犯罪行為が繰り返される場合や、重大な被害を受けた場合には、加害者に対して刑事告訴をすることも考えられます。
刑事告訴とは、警察などの捜査機関へ犯罪被害に遭ったことを申告して、加害者の処罰を求めることです。告訴が受理されると、警察が捜査を開始します。
ただし、警察が動いたとしても加害者が処罰されるとは限りません。また、犯罪事実を裏づける証拠がなければ、刑事告訴が受理されないこともあります。
民事での法的対応
クレーマーに対する民事での法的対応としては、民事訴訟を提起することが考えられます。
具体的には、理不尽なクレームや迷惑行為によって、従業員が精神的苦痛を受けたり、会社の業績が悪化したりした場合には、加害者に対する損害賠償請求訴訟を提起することが考えられます。
但し、民事訴訟の手続は複雑で手間がかかりますし、解決するまでに1年以上の期間を要することも多いです。
弁護士を通じた法的対応
悪質なクレーマーからの理不尽な要求を防ぐために最も有効な方法は、弁護士に法的対応を依頼することです。
弁護士からクレーマーに対して内容証明郵便を送付し、理不尽な要求をやめるように警告するだけでも、解決に至ることがよくあります。
それでも理不尽な要求が止まらない場合には、弁護士がクレーマーに連絡をして、交渉してくれます。
弁護士が対応することにより、クレーマーも自身の要求が通らないことを悟ることが多いです。
そのため、この段階までで、事態が収束するケースがほとんどである印象です。
仮に、法的措置が必要な場合には、弁護士が、適切な手段を選択した上で、手続を進めてくれます。
クレーマー対策は弁護士へご相談を
悪質なクレーマーから従業員を守るためにも、弁護士にご相談頂くことをおすすめします。
当事務所では、1983年の創業以来、東証プライム上場企業から中小企業、個人事業主の方の顧問弁護士として、多種多様なトラブルを解決に導いてきました。
理不尽なクレーム問題に対する対応経験も豊富にあり、クレーマーへの対策についても熟知していると自負しております。
クレーマーからの理不尽な要求にお困りの企業の方は、お気軽に当事務所までご相談下さい。