コラム

経営者の法務的な孤独を、顧問弁護士がどう支えられるか?

2025-10-06

会社を経営していると、常に判断を迫られるものです。その結果に対する責任は、すべて経営者が負わなければなりません。

特に中小企業の経営者の中には、会社が直面する法律的な問題について、社内に相談相手がおらず、「誰にも相談できない」という孤独感を抱えている方も多いでしょう。

そこで、今回は、法務で孤独に陥りがちな経営者にとっての、顧問弁護士の役割について説明します。

1 経営者の孤独な悩みとは

経営者が直面する問題は、多岐にわたります。企業活動は法律に則って行う必要があるため、経営者は常に法律的な問題を抱えているといっても過言ではありません。

法務における代表的な悩みとしては、以下のようなものが挙げられるでしょう

・取引先とのトラブル

・顧客からの理不尽なクレームや不当な要求

・従業員との労働問題

・契約書の作成や確認

・新規事業の立ち上げなど業務範囲の拡大

・著作権や商標権、営業秘密などの適切な管理

・資金繰りや法的整理の検討

・組織の再編やM&A

これらの問題へ適切に対処するためには、高度な法的知識を要求されることも多いです。かといって、外部に漏らすことも許されない秘匿性を伴う問題も多々あります。

そのため、法務部がない中小企業では、経営者が誰にも相談できない状況に追い込まれ、孤独に陥ることになりがちです。

2 顧問弁護士の役割

弁護士というと、裁判をする人だというイメージをお持ちの方も多いことでしょう。

確かに、裁判や交渉を通じてトラブルを解決することは、弁護士の重要な職務の一部です。しかし、弁護士の役割はトラブルを解決することだけではありません。

特に、顧問弁護士は会社がトラブルに巻き込まれることを未然に防ぐことにより、企業活動を法的側面からサポートすることをメインの職務としています

トラブルを未然に防ぐためには、経営者と顧問弁護士が日頃から密接に交流していることが望ましいです。経営者が顧問弁護士に気軽に相談できれば、安心して企業活動を展開することが可能となります。

言い換えれば、顧問弁護士は孤独に陥りがちな経営者の心強い味方といえるでしょう。

3 顧問弁護士に相談できること

顧問弁護士には、会社が抱える法的問題なら、どんなことでも相談できます

例えば、取引先との契約時には、契約書のリーガルチェックを受けるとともに、有益なアドバイスを受けることが可能です。

また、労働トラブルを防止するためには、就業規則の見直しや、ハラスメントが発生しにくい職場環境の作り方などについて、具体的なアドバイスを受けることができます。

さらに、企業法務の経験が豊富な顧問弁護士からは、ビジネス上の経営判断についても、有益なアドバイスを得られる可能性があります。

その他にも、経営者の相続や離婚、交通事故、お金の貸し借りなどの、個人的な問題についても、顧問弁護士に対応してもらえることもあります(少なくとも、当事務所においては、対応しております)。

このように、顧問弁護士に相談できる内容は多岐にわたります。孤独な経営者も、顧問弁護士との対話を通じて不安を解消すれば、経営上の判断にも自信を持つことができるでしょう

4 顧問弁護士を持つことのメリット

ここまで説明してきたように、経験豊富な顧問弁護士にはどんなことでも相談できますので、経営者にとって精神的な支えになります。「困ったときは顧問弁護士に相談できる」という状態にしておくことで、大きな安心感が得られるはずです

法的な問題に対しては責任を持った回答が得られますので、法的な経営判断に関して、自信を持って行うことができるようになります。

仮にトラブルが発生した場合にも、顧問弁護士は、示談交渉や裁判を通じて迅速かつ適切な解決を図るよう努めてくれます。

会社が法的トラブルに巻き込まれるリスクも抑えてくれますので、経営者も従業員も、本来の業務に集中できるようになることでしょう。

5 顧問弁護士をお考えの方は当事務所まで

当事務所は、1983年の創業以来、東証プライム上場企業から中小企業、個人事業主の方の顧問弁護士として、多種多様なご相談を解決してきました。

顧問をさせていただいている会社の業種も豊富であり、様々な業種の内情を把握していると自負しております。

これまで様々な会社の顧問弁護士として、数多くの経営者の方のお悩みを解決に導いてきましたので、きっとお役に立てると思います。

顧問料については、実際にお話を伺い、協議の上、設定させていただきます。

もし、顧問弁護士をお考えであれば、お気軽に当事務所までご相談下さい。

元従業員からの顧客引き抜きに対する防止策

2025-09-27

企業経営をしていると、元従業員が自社の顧客を引き抜いてくることもあります。

しかし、このような顧客引き抜きを放置すると、企業にとって大きな損害が発生します。

そこで、今回は、元従業員からの顧客引き抜きに対する防止策を、弁護士が解説します。

1.誓約書の提出を求める

まずは、従業員の入社時及び退職時に、誓約書の提出を求めることが考えられます。
では、誓約書にどのような内容を記載すれば良いのでしょうか。

(1)顧客との取引を禁止する

まずは、端的に、退職後に自社の顧客との取引を禁止する内容が考えられます

但し、裁判所から誓約内容を無効とされないように、①取引を禁止する顧客の範囲、②取引を禁止する期間について、定めておくのが良いです。

例えば、①の禁止範囲については、会社在職時に担当していた顧客に限定することが考えられます。

また、②の取引禁止期間については、1年間又は2年間などに、限定することが多いです。

(2)顧客情報の持ち出しを禁止する

次に、顧客情報の持ち出しを、禁止する内容が考えられます

顧客情報が会社の機密情報であることを確認した上で、退職後においても顧客情報を利用してはならないなどと規定することが考えられます。

(3)競合行為を禁止する

次に、退職者の競業行為自体を禁止する方法も考えられます

この場合には、①会社と競合する他社に就職したり、会社と競合する事業を営むことを禁止することになります。

但し、期間制限を行わないと、裁判所から無効と判断されるので、②期間についてはどれだけ長くとも、2年間と記載しておくのが一般的です。

なお、近年では、2年間の期間制限について、否定的に考えている裁判例もあるため、期間で否定的な見解を持たれたくないのであれば、6ヶ月から1年間程度の期間にしておくのが無難です。

(4)弁護士に相談を

顧客引き抜き防止のための誓約書を作成する際には、必ず、弁護士に相談するのをおすすめします。

なぜなら、このような誓約書は、裁判において無効とされるケースも多いからです。

そうなると、肝心な場面で効力が発揮されず、誓約書の存在が無意味なものになってしまいます。

そのため、誓約書や後述の就業規則の記載については、弁護士に相談の上、作成することを強くおすすめします。

2.就業規則に記載する

次に、就業規則にて、顧客の引き抜きを防止することが考えられます。

内容については、誓約書の際と同様、①顧客との取引禁止、②顧客情報の持ち出し禁止、③競合行為の禁止になります。

また、就業規則に、④上記の規定に違反した場合に、退職金を減額又は不支給とする規定を策定しておくことも考えられます

基本的に、この場合、退職金が既に支払済みなので、退職金が支払済の時は返還請求を行うといった規定もセットで入れておく形になります。

3.顧客の引き抜きが判明した場合

実際に、元従業員による顧客引き抜きが判明した場合には、相手方に対して、損害賠償請求を行っていくことが考えられます。

せっかく、誓約書や就業規則を適切に作成しても、違反者に対して損害賠償請求を行わないのであれば、今後、違反者が増加していく可能性が高いです。

そのため、違反者に対しても、適切に対応していくことが重要です。

4.顧問弁護士の活用も

顧客の引き抜きに対する防止策を打ちたい企業様は、顧問弁護士の活用もご検討ください。顧問弁護士がいれば、その企業の実情を踏まえて、適切に防止策を講じることができます。

また、経験上、顧問弁護士がいる場合には、顧客を引き抜かれることも少なくなる印象です。

これは、事前の防止策に加えて、引き抜く側も、実際に引き抜き行為をした場合には、その顧問弁護士が対応してくることが分かるためです。

5.最後に

今回は、元従業員からの顧客引き抜きに対する防止策について、解説しました。

重複になりますが、誓約書や就業規則の規定については、必ず、弁護士に相談するのをおすすめします。

当事務所は、1983年の創業以来、中小企業の顧問弁護士として、多くの労働紛争を解決して参りました。

顧客の引き抜きについて、お困りの事業者の方は、お気軽に、当事務所までご相談頂ければと思います。

※当事務所は、本コラムにおいて法的助言を提供するものではありません。

個別の案件については案件ごとの具体的な状況に応じ、弁護士に相談の上、ご対応ください。

退職者による前職顧客の引き抜きに、7200万円もの損害賠償責任を認めた裁判例について、弁護士が解説

2025-09-18

退職した元従業員が前職の顧客を引き抜くことは、法的に許されるのでしょうか。

前回のコラムでは、この点に関する一般論を解説しました。

■前回のコラム

退職した元従業員による顧客の引き抜きは違法?企業側の弁護士が解説

今回は、退職者が前職の顧客を引き抜いたことに対して、7200万円もの損害賠償請求が認められた裁判例について、解説します。

1.元従業員による顧客の引き抜きが違法か

まず、元従業員による顧客の引き抜きが違法か否かの一般論について、簡単に説明します。

元従業員による顧客の引き抜きは、原則として、合法とされる傾向にあります

これは、在職中と異なり、退職後の元従業員には、競合行為等により、自己又は第三者の利益を図るために、使用者に損失を与えてはいけないという誠実義務が認められないためです。

もっとも、下記の裁判例のように、前職の顧客の引き抜きが違法と評価されて、多額の損害賠償責任が認められる事例もあります。

2.7200万円もの損害賠償請求が認められた裁判例

厚生会共立クリニック事件(大阪地裁平成10年3月25日判決)では、前職である共立クリニックの近くに、新たにクリニックを設立して、前職の患者を引き抜いた行為の違法性が問題となりました。

裁判所は、前職の患者の引き抜きに関して、以下のように判断して、損害賠償責任を認めました。

(1)原則論

前職のクリニックの就業規則には、顧客の引き抜き行為を直接禁じた規定は見当たらない。

そして、引き抜き行為者にも、経済活動の自由があるから、診療施設を開設することは原則として自由であり、その施設で受診する患者を集めること自体も、社会的に相当と認められる限度においては、不当とされることはない

(2)違法と評価されるか否かの判断基準

しかし、だからといって、引き抜き行為者がどのような行動をとっても許されるというわけではなく、あくまでも社会的に見て相当といえる程度にとどまることが要求されるというべきである。

そのような場合に、引き抜き行為者に要求される注意義務の内容については、これを一般的に明示することは困難な面があるが、少なくとも、前職のクリニックの経営を左右するほどの重大な損害を発生させるおそれのあるような行為は禁止されると解するのが相当であり、引き抜き行為者は、前職のクリニックとの雇用契約上の信義則に基づき、このような行為を行ってはならないという義務を負担しているというべきである。

(3)裁判所が違法と評価する際に重視した事実

前職クリニックの主たる業務は血液人工透析であるところ、血液人工透析を受ける者のほとんどが慢性腎不全の患者であるという事柄の性質上、ある診療施設に通院可能な地域の患者数はおのずから限られている

引き抜き行為者は、前職クリニックと極めて近い場所に、新たなクリニックを開設し、新規開設されたクリニックも主たる業務が、前職クリニックと同じ血液人工透析である。

引き抜き行為者は、前職クリニックで血液人工透析を受けている患者全員に対して、新クリニックへの転院を勧誘した

その結果、前職クリニックで血液人工透析を受けていた87名の患者のうち45名が、新クリニックが診察を開始した月に転院してしまい、その後も転院者が出ている

引き抜き行為者は、前職クリニック以外の医療機関に、透析患者の紹介を積極的に求めるなどした形跡がないにもかかわらず、多額の金員を借入れ、前職クリニックに匹敵する規模のクリニックを新たに開設した

引き抜き行為者は、前職クリニックの院長であり、そのクリニックを経営する医療法人の理事にも就任していた

この裁判例では、上記の事情を加味すれば、前職クリニックの患者に対する転院勧誘行為は、相当性を逸脱したものと言わざるを得ないとして、引き抜き行為者の損害賠償責任を認めています。

(4)損害額について

裁判所は、前職クリニック(を経営する医療法人)に生じた損害が、1ヶ月あたり300万円と認定しました。

その上で、前職クリニックが求める損害の期間が2年間であることから、300万円×2年間(24ヶ月)の、7200万円の損害額を認定しています。

(5)裁判例のポイント

一般的に、前職の顧客を引き抜いても合法とされる傾向にあります。

また、仮に、裁判所が顧客の引き抜きを違法と判断しても、損害額としては、前職に生じた損害のうち、3ヶ月程度の損害を認定する傾向にあります。

それにもかかわらず、この裁判例では、前職の顧客(患者)の引き抜きを違法と認定した上で、損害が生じた期間として、2年間にも及ぶ期間を認定しています。

これは、

顧客が人工透析患者であり、そのクリニックに通う患者がおのずと限定されていて、顧客を取られた場合に、自社の努力で、その損害を回復することが難しいという性質がある上、

引き抜き行為者が、前職クリニックと極めて近い場所に新規クリニックを開設した上、前職クリニックで人工透析を受けている患者全員に転院勧誘を行うという、明らかにやり過ぎ行為が存在している上、

実際上、半数以上の患者が転院して、前職クリニックに大きな損害が生じていることを重視したものと考えられます。

なお、この裁判例では、請求者が請求しているのが2年間なのでとの前置きをした上で、2年分の損害を認定しています。判決でのこの書きぶりを見る限り、仮に、請求者がそれよりも長い期間の損害を請求していた場合には、2年を超える期間の損害を認める可能性があった事案と思われます。

3.最後に

今回は、退職者が前職の顧客を引き抜いて、7200万円もの損害賠償請求が認められた裁判例について、解説しました。

顧客の引き抜きの問題については、自社のみで適切に対応することが難しく、弁護士に依頼をして適切に対応を行っていくことが重要です。

京都の益川総合法律事務所は、1983年の創業以来、東証プライム企業から中小企業、個人事業主の方の顧問弁護士として、これまで数多くの労働問題を解決してきました。

本件のような、顧客の引き抜きの問題についても、確かな対応実績を有しております。

顧客の引き抜きについて、お困りの企業経営者の方がおられましたら、お気軽に当事務所までご相談ください。

退職した元従業員による顧客の引き抜きは違法?企業側の弁護士が解説

2025-09-14

企業運営をしていると、退職した元従業員が自社の顧客を引き抜いてくることもあります。

このような顧客の引き抜きは、法的に許されるのでしょうか。

今回は、退職した元従業員による顧客の引き抜きが合法かについて、企業側で労働問題に注力する弁護士が解説します。

1.元従業員による顧客の引き抜き

元従業員による顧客の引き抜きは、原則として、合法とされる傾向にあります

これは、在職中と異なり、退職後の元従業員には、競合行為等により、自己又は第三者の利益を図るために、使用者に損失を与えてはいけないという誠実義務が認められないためです。

もっとも、裁判例において、下記のような場合には、元従業員による顧客の引き抜きを違法とする傾向にあります

会社の経営を左右するほどの重大な損害を発生させる場合

退職時に作成した誓約書に顧客の引き抜きを行わないと記載されているにもかかわらず、引き抜きを行った場合

その他、社会的相当性を逸脱したと評価されるような場合

なお、②のケースでは、そもそも、その誓約書が有効かという問題が発生することは、注意が必要です。

2.在職時から顧客の引き抜きを行っている場合

上記の通り、元従業員が退職後に顧客の引き抜きを行った場合には、原則として合法とされる傾向にあります。

もっとも、退職後に顧客の引き抜きを行ってくる従業員は、在職時であっても、独立や転職が決まった時点から、顧客の引き抜きを行っているケースもあります。

このような場合には、当該従業員の在職時の引き抜き行為をもって、違法であると主張することが考えられます

在職中の従業員には、「競合行為等により、自己又は第三者の利益を図るために、使用者に損失を与えてはいけないという誠実義務」が認められます。

そのため、裁判所も、在職時の引き抜き行為は、違法と認定してくれやすいためです

■弁護士費用が請求できる場合も

裁判官によっては、在職時の引き抜き行為の違法性が大きい場合には、誠実義務違反のみならず、会社に対する不法行為を認定してくれる場合もあります。

例えば、自社が商談を行っていたにもかかわらず、その従業員が転職先に顧客を受注させ、自社が顧客と契約する機会を失わせた場合などです。

このようなケースでは、弁護士費用全額ではないものの、裁判官が認定した会社の損害額の1割を、弁護士費用分の損害として認定してくれることがあります。

3.顧客の引き抜きをどうやって防ぐか

顧客を引き抜かれると、自社の経営状況が急激に悪化する危険があるため、企業としては、適切に対策を講じる必要があります。

詳細な解説は、別のコラムに譲りますが、入社時の誓約書、②就業規則の規定、③退職時の誓約書、④違反者への損害賠償請求などの対策が考えられます

但し、①から③の誓約書や就業規則の規定については、裁判になった際に、無効であるとの主張を受けることが多いため、引き抜きの問題に詳しい弁護士の関与のもと、適切に作成することが重要です。

実際に、裁判において、誓約書や就業規則の規定が、無効であると認定されているケースも多いです。

4.最後に

今回は、退職した元従業員による顧客の引き抜きが合法かについて、企業側で労働問題に注力する弁護士が解説しました。

顧客の引き抜きの問題については、事前に対策を打っておくとともに、実際に問題が生じた際には、弁護士に依頼をして適切に対応を行っていくことが重要です。

また、顧客の引き抜きが問題になる企業の場合、傾向として、従業員が引き抜かれるとの問題が発生する可能性も高いため、こちらについても対策を打っておくことが重要です。

京都の益川総合法律事務所は、1983年の創業以来、東証プライム企業から中小企業、個人事業主の方の顧問弁護士として、これまで数多くの労働問題を解決してきました。

本件のような、元従業員による顧客の引き抜きの問題についても、多数の対応経験を有しております。

顧客の引き抜きについて、お悩みの事業者の方がおられましたら、お気軽に当事務所までご相談ください。

顧問弁護士がいる会社は、なぜ紛争が拡大しづらいのか?

2025-09-07

企業活動には常にリスクが伴いますので、大小さまざまな紛争が発生することも珍しくありません。

紛争が拡大すると、企業の業績や評判にも深刻な影響を及ぼすおそれがあるので、できる限り早期のうちに解決することが大切です。そのためには、顧問弁護士を活用することが有効です。

今回は、顧問弁護士がいる会社では、紛争が発生したとしても拡大しづらい理由について解説していきます。

1 紛争の発生を予防してくれる

顧問弁護士の主な業務のひとつに、予防法務というものがあります

予防法務とは、企業が紛争の発生を回避するために、あるいは紛争が発生してもリスクを最小限に抑えるために、事前に法的なリスクを管理するための取り組みのことです。

顧問弁護士は、契約書の作成やリーガルチェック、就業規則などの社内規程の整備などをはじめとして、企業が直面する法的リスクをチェックし、紛争発生の予防を図ってくれます。

例えば、取引の際に交わす契約書に不備があれば、取引先との間で紛争が発生する可能性は高まります。

しかし、顧問弁護士に契約書の作成やリーガルチェックを任せれば、適切な内容の契約書を交わすことができます。それだけでなく、万が一、紛争が発生した場合の解決方法までを契約書に盛り込むことも可能となります。

このように、顧問弁護士がいる会社では、そもそも紛争が発生しづらい上に、紛争が発生した場合でも拡大する前に解決しやすい状態を作ることができるのです。

2 迅速に問題解決に取り組める

顧問弁護士と契約していれば、些細なことでも気軽に相談しやすいというメリットも得られます。

紛争が発生した初期の段階で顧問弁護士に相談すれば、穏便に解決できる可能性も高まります。紛争が発生しそうな予兆を感じた時点で相談すれば、紛争の発生を予防することにもつながるでしょう。

また、顧問弁護士は、顧問先の企業が紛争に巻き込まれた際には、優先的に対応してくれます。

この点、顧問弁護士がいなければ、まずは直面している問題に詳しい弁護士を探して相談の予約を取り、相談時には詳しい事情を一から話して、費用の問題についても協議した上で紛争の解決を依頼しなければなりません。

以上のステップを踏んで弁護士に動いてもらえるまでには、1~2週間程度かかることが多く、場合によっては1ヶ月以上かかってしまうこともあります。その間に紛争が拡大してしまうことにもなりかねません。

日頃から顧問弁護士とコミュニケーションを取っていれば、紛争発生時に迅速に動いてもらうことが可能となり、紛争の拡大防止につながるのです。

3 相手方との調整役も担ってくれる

実際に紛争が発生した場合、顧客や取引先との紛争にしろ、従業員との紛争にしろ、当事者同士でぶつかり合うと感情的に対立してしまい、紛争が拡大しやすい傾向にあります。

しかし、顧問弁護士に対応を任せれば、第三者的な立場で調整役も担ってくれます

顧問弁護士は法的な観点から問題状況を整理し、状況に合わせて、相手方との解決を調整してくれます。

当事者同士のやり取りでヒートアップしていた相手方も、弁護士が説明をすれば納得し、紛争の拡大が抑えられることもあります。

4 柔軟な解決を図ってくれる

紛争を話し合いで解決できなければ訴訟問題に発展することもありますが、訴訟に至ると、時間や労力、コストの面で双方にとって大きな負担が生じます。

しかし、顧問弁護士は状況にもよりますが、通常はまず、相手方と交渉することで和解による解決を模索してくれます

訴訟前に和解で解決できれば紛争の長期化を回避できますし、労力やコストの面でも負担が大きく軽減されます。

もちろん、訴訟をしてでも企業側の言い分を全面的に通したい場合には、その方向で顧問弁護士に対応を任せることも可能です。その場合は、顧問弁護士が豊富な専門的ノウハウを活用して、迅速に訴訟手続きを進めてくれます。

5 コンプライアンスを強化してくれる

近年、企業の不祥事が相次ぎ、コンプライアンス(企業による法令遵守)が重要視されています。

企業が利益を追求するためのサポートはもちろんですが、コンプライアンス体制を構築し、強化していくことに対するサポートも、顧問弁護士の重要な業務のひとつです。

コンプライアンス体制を強化することは、企業イメージの向上につながるだけでなく、紛争発生の予防や紛争の拡大防止にもつながります。

6 顧問弁護士をお考えの方は当事務所まで

顧問弁護士を活用することは、紛争の予防や拡大防止に、大きな意義を有するといえます。

当事務所は、1983年の創業以来、東証プライム上場企業から中小企業、個人事業主の方の顧問弁護士として、多種多様なご相談を解決してきました。

顧問をさせていただいている会社の業種も豊富であり、様々な業種の内情を把握していると自負しております。

これまで会社や事業に関わる様々な出来事に対し、多くのご相談を受けてきましたので、きっとお役に立てると思います。

顧問料については、実際にお話を伺い、協議の上、設定させていただきます。

企業運営に当たって、紛争の発生や拡大を防ぎたいとお考えの経営者の方は、お気軽に当事務所までご相談下さい。

なぜ中小企業にこそ顧問弁護士が必要なのか?

2025-08-31

中小企業の経営者の中には、「うちの会社に顧問弁護士はまだ必要ない」、「必要なときだけ弁護士に相談すればよいだろう」とお考えの方も多いようです。

しかし、企業を経営していれば日々、法的問題に直面するものです。法務に関する体制を整えていなければ、トラブルが頻発したり、発生したトラブルに適切に対応できなかったりして、事業運営に支障をきたすことにもなりかねません。

そこで、今回は、中小企業にこそ顧問弁護士が必要な理由について、解説します。

1 中小企業にこそ顧問弁護士が必要な理由

中小企業にこそ顧問弁護士が必要な理由を、端的に申し上げるならば、大企業とは異なり、中小企業には法務部門を設けていない会社が多いことが挙げられます。

具体的には、以下の4つの観点から、必要性を挙げることができます。

(1)法務を任せることができるから

法務とは、企業の事業活動において法律が関連する業務の総称です。

具体的な業務内容は、契約書の作成やチェック、労務対応、社内規程の整備、コンプライアンスの維持、社内外で発生したトラブルへの対応、法令調査などをはじめとして多岐にわたります。

例えば、取引先との契約ひとつをとってみても民法や各種法令が関連しますし、従業員を雇用していれば、労働関係法令が問題になります。企業を経営する以上、法的問題を避けて通れません。

大企業であれば、法的な判断やチェックが必要な業務は法務部が担当しますので、法的リスクを管理することが可能です。

しかし、中小企業では、人員や予算の面で、法務部門を設けるだけの余裕がないことも多いでしょう

そんなとき、顧問弁護士と契約すれば法務を任せることができます。社内の法務を顧問弁護士に外注することができるのです。

(2)本来の業務に専念できるようになるから

多くの中小企業では、法的な問題に、経営者の方や担当の従業員が手探りで対応しているのが実情ではないでしょうか。

しかし、これでは法律に関する知識や理解の不足により、トラブル発生のリスクを適切に管理することは難しいと言わざるを得ません。発生したトラブルへの対応も後手に回りがちで、訴訟に発展するなどして、時間や労力、費用の面で企業に莫大な負担が生じるおそれもあります。

トラブルが発生しなかったとしても、逐一、調べ物などをしながら業務に当たっていたのでは、円滑に業務を遂行することも難しくなるでしょう。

顧問弁護士と契約すれば、法的な検討を任せることができますので、経営者や従業員は本来の業務に専念できるようになります。それによって生産性が向上し、企業の業績アップも期待できるでしょう。

(3)経営判断もサポートしてもらえるから

事業を運営していると、新規事業の立ち上げや業務提携、重大顧客とのトラブル対応など、重要な経営判断を迫られることもあるでしょう。

大企業ではブレーンが法務部と連携して経営判断を下すことが多いため、経営者や担当者が一人で重要な判断を迫られることはありません。

しかし、中小企業では経営者が一人で、対応せざるを得ないのが実情ではないでしょうか

顧問弁護士がいれば、このような経営判断に際しても、法的リスクを踏まえた有益なアドバイスが得られます

また、顧問弁護士は、税理士、社労士、司法書士などの他士業とのネットワークを持っていることが多いものです。このようなネットワークを背景とした情報も得られますので、顧問弁護士をブレーンのように活用することもできるでしょう。

(4)企業の信頼性の向上につながるから

世間的に名の知れた大企業は、それだけで顧客や取引先からの信頼が得られやすいものです。しかし、中小企業はその信頼を獲得することが難しいことも多いです。

その点、顧問弁護士が付いていれば、顧客や取引先も「安心して取引できる」とのイメージを持ちやすくなります。

会社のホームページなどに顧問弁護士の氏名などを掲載しておけば、世間的にも「きちんとした会社だ」との印象を持ってもらいやすくなるでしょう。

このように、顧問弁護士と契約することは企業の信頼性の向上につながるといえます。

2 中小企業が顧問弁護士と契約することで得られる具体的なメリット

次に、中小企業が顧問弁護士と契約することで得られるメリットを、具体的にご紹介します。

(1)予防法務でトラブルを未然に防げる

顧問弁護士が担う重要な業務のひとつに、予防法務というものがあります。予防法務とは、その名のとおり、企業がトラブルを回避するために、あるいはトラブルが発生してもリスクを最小限に抑えるために、事前に法的なリスクを管理するための取り組みのことです。

例えば、取引の際には顧問弁護士に契約書を作成してもらったり、リーガル・チェックを受けたりすることで、不利な契約締結のリスクを回避することにつながります

また、労務管理を顧問弁護士にサポートしてもらうことで、従業員との労働トラブル発生のリスクを回避しやすくなります

その他にも、社内規程の整備やコンプライアンスの維持など、顧問弁護士に任せることができる予防法務は多岐にわたります。

トラブルは未然に防ぐに越したことはありません。顧問弁護士を活用することで、トラブルの未然防止に大きく役立ちます。

(2)トラブル発生時にも迅速な解決が期待できる

仮に、トラブルが発生した際にも、顧問契約をしていれば優先的に対応してもらえます。

顧問弁護士は日頃から会社の実情を把握していますので、臨機応変な対応も可能となります。

新たに弁護士を探して依頼する場合よりも、迅速かつ適切なトラブル解決が期待できます。

また、顧問弁護士がいることにより、トラブルの初期段階で適切に対応することができ、不必要に紛争が拡大することも防止できるのです

(3)スポット契約よりも費用と負担が軽くなることもある

顧問弁護士と契約するには、顧問料がかかります。その金額は弁護士によって異なりますし、プランによっても変わってきますが、中小企業の場合は月額5万円(消費税別)~となることが多い印象です。

ただし、顧問契約をしていれば、別途、弁護士によるサポートが必要となった場合には、弁護士費用の割引を受けられることもあります。

必要なときだけ弁護士に依頼する契約のことを「スポット契約」といいますが、顧問契約をした方が、トラブルを初期段階で防ぐことができることを含めて、結果的にスポット契約よりも費用の負担が軽くなることも多い印象です。

3 中小企業が顧問弁護士を選ぶときのポイント

顧問弁護士を選ぶ際には、企業法務の実績が豊富な弁護士に相談することが大切です。

この点、大企業では、基本的な法務は法務部門で処理していますので、より高度な専門分野に特化した弁護士を顧問弁護士に選んでいるケースも少なくありません。

しかし、法務部門を持たない中小企業では、事業活動全般について法的にサポートしてくれる弁護士を選んだ方が望ましいといえます

さまざまな企業をサポートしてきた経験を豊富に有する弁護士を顧問弁護士とすれば、経営者の心強い味方となってくれることでしょう。

当事務所は、1983年の創業以来、東証プライム上場企業から中小企業、個人事業主の方の顧問弁護士として、多くの問題を解決してきました。

中小企業をサポートした実績も豊富に有しておりますので、企業側での紛争案件の処理も含めて、専門的なノウハウを熟知していると自負しております。

中小企業にこそ顧問弁護士の必要性が高く、メリットも大きいといえます。中小企業の経営者で法務にお困りの方は、お気軽に当事務所までご相談下さい。

会社が弁護士に依頼すべきタイミング

2025-08-24

企業経営者の方から、弁護士にはどのタイミングで依頼をすればよいの? とのご質問を頂くことがあります。

そこで、今回は、会社が弁護士に依頼すべきタイミングについて、企業側で紛争案件に注力する弁護士が解説します。

1.弁護士に依頼すべきタイミング

企業が、弁護士に依頼をするタイミングとしては

従業員や消費者、取引先との間でトラブルの火種が生じた

相手方の弁護士から内容証明郵便が届いた

相手方から労働審判や訴訟提起をされた

といった各段階が考えられます。

そして、少なくとも、②相手方の弁護士から内容証明郵便が届いた時点では、企業が弁護士に依頼をすべきです。

なぜなら、相手方の弁護士から内容証明郵便が届いて以降も、自社のみで対応した場合には、弁護士というプロ相手に適切な対応が取れずに、自社が不利な状況に陥る可能性が高いためです。

相手方の弁護士も自身の依頼者に有利な証拠を固めようとするため、企業側が不利になるように誘導した上で質問をして回答をさせようとしたり、企業担当者との電話を録音したりする可能性もあります。

2.顧問弁護士の活用を

上記の通り、少なくとも、②相手方の弁護士から内容証明郵便が届いた時点では、企業が弁護士に依頼をすべきですが、本来的には、①従業員や消費者、取引先との間でトラブルの火種が生じた時点で、弁護士に相談すべきです。

なぜなら、企業が初動対応を誤って、紛争を不必要に拡大させてしまうこともありますし、②の時点から弁護士が依頼を受けても、既に企業側に不利な証拠が多く存在して結論をひっくり返しようがない時もあるためです。

もっとも、①の従業員や消費者、取引先との間でトラブルの火種が生じた時点で、全ての案件を企業が弁護士に依頼するのは、弁護士費用の支出が大きく、現実的ではありません。

そのため、顧問弁護士の活用をお勧めします

顧問弁護士とは、会社から継続的に日常業務に関わる法律相談を受け、法的に会社をサポートする弁護士のことを言います。

顧問弁護士であれば、①従業員や消費者、取引先との間でトラブルの火種が生じた時点で、気軽に相談ができ、企業が対策を取ることができます

顧問契約の内容にもよりますが、このような相談についても、月額顧問料の範囲内で相談ができ、別途費用が発生しない事務所も比較的多い印象です(少なくとも、当事務所の場合はそうです)。

企業が、初動対応で間違えないためにも、是非顧問弁護士を活用してください。

3.最後に

今回は、会社が弁護士に依頼すべきタイミングについて、企業側で紛争案件に注力する弁護士が解説しました。

京都の益川総合法律事務所は、1983年の創業以来、東証プライム企業から中小企業、個人事業主の方の顧問弁護士として、これまで数多くの紛争案件を解決してきました。

紛争案件でお困りの企業様は、お気軽にご相談ください。

従業員による業務上横領が起きたときの対応について、会社側の弁護士が解説

2025-08-17

企業運営をしていると、自社の役員や従業員が業務上横領を行い、自社に損害を与えてくることもあります。

しかし、自社で業務上横領が発生した場合、企業が適切に対応をしないと、自社に更なる損害が発生することにもなりかねません

そこで、今回は、従業員による業務上横領が起きたときの、会社が取るべき対応について、企業側で労働問題に注力する弁護士が解説します。

1.業務上横領とは

業務上横領とは「業務上自己の占有する他人の物を横領」する行為を言います

例えば、①従業員が会社から預かったお金を着服したり、②店長がお店の売上を着服したり、お店の商品を会社の許可なく転売することなどが、挙げられます。

対して、従業員が自身の管理していない会社のお金を盗んだり、アルバイトがお店の売上を着服した場合などは、業務上横領ではなく、窃盗として処理されます。

なぜなら、これらの場合には、当該従業員やアルバイトが、そのお金を占有しているとは言えないためです。

また、従業員が取引先と共謀して、自社に架空請求を行い、会社からだまし取ったお金を山分けすることなどの場合は、業務上横領ではなく、詐欺にあたります。

ただし、窃盗や詐欺の場合にも、会社が取るべき対応は業務上横領の時とほとんど同じですので、以下では、これらも念頭に置いて、解説します。

2.会社が取るべき対応の流れ

(1)証拠の収集を行う

従業員の横領が疑われる場合に、会社が取るべき最初の対応は、証拠を集めることです。この時に、現時点で集められる証拠は全て集めておく必要があります。

証拠を集めている途中で、従業員の事情聴取をする企業様もいますが、全くおすすめできません。

なぜなら、しっかり証拠を集めてから事情聴取しないと、従業員が横領を否定してきた際に、証拠を突きつけるなどの切り返しができなくなってしまうからです。

一度、従業員の事情聴取をした後だと、その従業員も証拠隠滅をしてくる可能性がありますし、最悪のケースでは、その従業員に飛ばれてしまう可能性もあります。

そのため、最初の段階で、業務上横領に関する証拠を、その時点で集められる範囲で集めておく必要があります。

(2)従業員の事情聴取を行う

次に、従業員の事情聴取を行います。

事前に、相手方への質問や、相手方が横領を否定してきた場合の切り返し方法なども考えておくべきです。

また、相手方が業務上横領を認めた場合には、①横領の手口や内容、②横領を行った期間や回数、③横領した商品の内容(金銭の場合は金額)、④横領した商品をどうしたか(売却した場合には商品を売却した店舗名)、⑤横領によっていくらの金額を得たか、⑥今後会社に対する賠償をどのように考えているかなどを、詳細に確認していきます。

最後に、当該従業員に、業務上横領に関する経緯書を作成してもらいます。

経緯書に記載してもらう内容は、概ね上記の①から⑥の内容辺りになります。

(3)雇用関係の整理を検討する

業務上横領を認めさせた後、当該従業員との雇用関係の整理を検討します。

ここでは、①解雇以外の懲戒処分(減給や降格など)にとどめるのか、②自主退職を促すのか、③解雇を行うのかなどを検討することになります。

但し、従業員に辞めてもらう場合にも、基本的には、解雇ではなく、自主退職を促した方が無難です

なぜなら、解雇を選択すると、従業員側から後に不当解雇であると主張されるリスクが高まってしまうからです。

仮に、企業側が裁判で負けて、不当解雇であることが認められてしまった場合、企業は当該従業員に対して、解雇日まで遡って賃金を支払わなければならず、企業に更なる損害が発生することになります。

ただし、当該従業員への退職金の支給を阻止するために解雇を選択したり、自社の過去の懲戒事例との均衡から解雇を選択した方がよい時もあります。

そのため、解雇を選択するか否かについては、事案に応じて慎重に判断する必要があります。

(4)被害金額を回収する

次に、業務上横領によって会社に発生した、被害金額を回収します。

企業と当該従業員との間で、被害金額や弁済方法などについて、合意ができた段階で、合意書を作成しておくのが良いです

(5)警察への対応

必要に応じて、警察に被害届けを出したり、刑事告訴を行います。

過去の経験上、相手方が被害弁償を拒否している場合にも、警察が被害届けや刑事告訴を受理して、相手方に対する取り調べを行った後には、相手方から被害金額を回収できることが多いです。

3.業務上横領が起きたと疑われる時点で弁護士に相談を

役員や従業員の業務上横領が疑われる場合、できるだけ早い時点で、弁護士に相談することが重要です。

なぜなら、会社が対応を間違えると、自社に更なる損害が生じる可能性があるからです。

事情聴取の際の注意点や、会社が従業員を解雇できるか否かの検討、被害金額の回収など、検討すべきことは多岐にわたり、自社のみで対応を行うことが難しいのが現状です。

また、仮に、従業員の解雇を行う場合には、しっかり証拠を固めた上で、弁明の機会などの手続きを適切に行うことが必要になってきます。

万一、企業が不当解雇として敗訴した場合には、解雇日まで遡って賃金を支払う必要がある点で、自社に大きな損害が発生することになります。

4.最後に

今回は、従業員による業務上横領が起きたときに、会社が取るべき対応について、企業側で労働問題に注力する弁護士が解説しました。

この種の案件は、弁護士の中でも、対応したことがない人も多いため、対応実績が豊富な弁護士に依頼することをお勧めします。

京都の益川総合法律事務所は、1983年の創業以来、東証プライム企業から中小企業、個人事業主の方の顧問弁護士として、これまで数多くの労働問題を解決してきました。

本件のような、従業員の業務上横領事案についても、多数の対応経験を有しております。

これらの問題でお困りの企業様は、お気軽にご相談ください。

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