事務所・オフィスの立退料の相場とは?弁護士が解説

今回は、借主側で立ち退き案件に注力する弁護士が、事務所・オフィスの「立ち退き料の相場」について解説します。

1.事務所・オフィスの立ち退き料の相場について

以下では、事務所・オフィスの立退料が問題となった裁判例を紹介します。

是非、立退料に関するイメージを付けて頂ければと思います。

(1)立退料1256万円の事例

東京地裁令和7年1月30日判決は、事務所・オフィスの事例で、立退料として1256万円を認定しました

■前提情報

使用目的:不動産業者の事務所

月額賃料:47万5760円(管理費込み、消費税別)

賃借期間:56年

■立退料の認定額

1256万円

■立退料の内訳

裁判所は、月額賃料の24か月相当額が妥当であると認定しました。

※この事例では、①建物が耐震性を欠いていて、建替えの必要性があること、②賃貸人から解約申し入れの際に、月額賃料の24か月相当の立退料が提示されていたこと、などを考慮して上記立退料を認定しています。

(2)立退料690万円の事例

東京地裁令和5年10月18日判決は、食品製造・販売業者の事務所の事例で、立退料として690万円を認めました。

■前提情報

使用目的:事務所(食品製造・販売業者)

月額賃料:10万円(消費税別)

賃借期間:13年8か月

■立退料の認定額

690万円

■立退料の内訳(①から③の合計額)

①新規物件との家賃差額補償(2年分):480万円

②新規物件の初期費用(敷金・礼金・仲介手数料・保険料等):180万円

③引っ越し費用:30万円

(3)立退料4055万円の事例

東京地裁令和3年11月10日判決は、事務所の事例で、立ち退き料として、4055万円を認定しました。

■前提情報

使用目的:事務所

月額賃料:56万8000円(消費税別)

賃借期間:5年

■立退料の認定額

4055万円

■立退料の内訳(①から③の合計額を丸めている)

①新規物件との家賃差額補償(2年分+礼金等):1004万8133円

②移転費用:2300万円

③営業補償:750万円

(4)立退料5億5700万円の事例

東京地裁令和2年3月24日判決は、店舗及び事務所の事例で、立退料として、5億5700万円を認めました

■前提情報

使用目的:店舗及び事務所(1階:生花店に喫茶スペースを併設した「青山フラワーマーケットティーハウス」本店、5階及び6階:本社事務所及び空間デザイン事業のショールーム)

※テナント側は、建物の1階、5階及び6階を借りていました。

月額賃料:627万円(消費税別)

賃借期間:10年

■立退料の認定額

5億5700万円

■立退料の内訳

1階部分(①から③の合計額を丸めたもの)

①借地権価格:2億2900万円

②移転補償費用:8700万円

③営業補償:3830万円

→3億5400万円

5階部分(①と②の合計額を丸めたもの)

①借地権価格:2540万円

②移転補償費用+営業補償:8610万円

→1億1150万円(この金額を丸めて、裁判所は、5階部分の立退料を1億1200万円と認定している)

6階部分(①と②の合計額)

①借地権価格:2080万円

②移転補償費用+営業補償:7020万円

→9100万円

(5)立退料119万100円の事例

東京地裁令和6年7月5日判決は、立退料として119万100円を認定しました

■前提情報

使用目的:事務室(商品の輸出入事業者)

月額賃料:55万5238円(消費税別)

賃借期間:18年10か月

■立退料の認定額

119万100円

■立退料の内訳

引っ越し費用:119万100円

※この事例は、被告側が裁判に出廷(対応)しなかったため、貸主側の主張通りの立退料が認定されてしまった事例です。

2.事務所・オフィスの立退料の相場に関する考察

一般的に、店舗やテナントの立ち退き料の相場は、月額賃料の2年~3年分程度と言われています(執筆弁護士の肌間隔としては、月額賃料の50か月分が目安となっている印象です)。

そして、事務所・オフィスに関して、上記で紹介した5つの裁判例を見てみると、立退料と月額賃料の対応関係は、下記の形になっています。

(1)立退料1256万円の事例月額賃料26か月分

(2)立退料690万円の事例月額賃料69か月分

(3)立退料4055万円の事例月額賃料71か月分

(4)立退料5億5700万円の事例月額賃料89か月分

(5)立退料119万100円の事例月額賃料2か月分

これらの数字を見ると、事務所・オフィスの立退料については、一般的な店舗やテナントの立退料よりも低額になり得る危険があると言えます

その理由として、事務所・オフィスの場合、①移転により、顧客を喪失すると言いづらい傾向にあり、営業補償等が認められない可能性があること、②移転費用(引っ越し費用・移転先の内装工事費用等)も低額に認定されることが多いこと等が挙げられます。

(5)の月額賃料2か月の事例のように、裁判に全く対応しないのは珍しいと思いますが、事務所の立ち退きの際は、立退料に関して適切に主張していかないと、低額にされる危険があるという点は、ご注意頂いた方がよいです。

3.最後に

今回は、事務所・オフィスの「立ち退き料の相場」について、解説しました。

当事務所は、1983年創業の法律事務所であり、これまで多数の立ち退き案件に携わってきました。

特に、立ち退きを求められた借主側での対応に注力しており、立ち退き案件について、確かな実績とノウハウを確立しております。

立ち退きを求められてお困りの事業者様は、お気軽に当事務所までご相談頂ければと思います。

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