中小企業の経営者の中には、「うちの会社に顧問弁護士はまだ必要ない」、「必要なときだけ弁護士に相談すればよいだろう」とお考えの方も多いようです。
しかし、企業を経営していれば日々、法的問題に直面するものです。法務に関する体制を整えていなければ、トラブルが頻発したり、発生したトラブルに適切に対応できなかったりして、事業運営に支障をきたすことにもなりかねません。
そこで、今回は、中小企業にこそ顧問弁護士が必要な理由について、解説します。
このページの目次
1 中小企業にこそ顧問弁護士が必要な理由
中小企業にこそ顧問弁護士が必要な理由を、端的に申し上げるならば、大企業とは異なり、中小企業には法務部門を設けていない会社が多いことが挙げられます。
具体的には、以下の4つの観点から、必要性を挙げることができます。
(1)法務を任せることができるから
法務とは、企業の事業活動において法律が関連する業務の総称です。
具体的な業務内容は、契約書の作成やチェック、労務対応、社内規程の整備、コンプライアンスの維持、社内外で発生したトラブルへの対応、法令調査などをはじめとして多岐にわたります。
例えば、取引先との契約ひとつをとってみても民法や各種法令が関連しますし、従業員を雇用していれば、労働関係法令が問題になります。企業を経営する以上、法的問題を避けて通れません。
大企業であれば、法的な判断やチェックが必要な業務は法務部が担当しますので、法的リスクを管理することが可能です。
しかし、中小企業では、人員や予算の面で、法務部門を設けるだけの余裕がないことも多いでしょう。
そんなとき、顧問弁護士と契約すれば法務を任せることができます。社内の法務を顧問弁護士に外注することができるのです。
(2)本来の業務に専念できるようになるから
多くの中小企業では、法的な問題に、経営者の方や担当の従業員が手探りで対応しているのが実情ではないでしょうか。
しかし、これでは法律に関する知識や理解の不足により、トラブル発生のリスクを適切に管理することは難しいと言わざるを得ません。発生したトラブルへの対応も後手に回りがちで、訴訟に発展するなどして、時間や労力、費用の面で企業に莫大な負担が生じるおそれもあります。
トラブルが発生しなかったとしても、逐一、調べ物などをしながら業務に当たっていたのでは、円滑に業務を遂行することも難しくなるでしょう。
顧問弁護士と契約すれば、法的な検討を任せることができますので、経営者や従業員は本来の業務に専念できるようになります。それによって生産性が向上し、企業の業績アップも期待できるでしょう。
(3)経営判断もサポートしてもらえるから
事業を運営していると、新規事業の立ち上げや業務提携、重大顧客とのトラブル対応など、重要な経営判断を迫られることもあるでしょう。
大企業ではブレーンが法務部と連携して経営判断を下すことが多いため、経営者や担当者が一人で重要な判断を迫られることはありません。
しかし、中小企業では経営者が一人で、対応せざるを得ないのが実情ではないでしょうか。
顧問弁護士がいれば、このような経営判断に際しても、法的リスクを踏まえた有益なアドバイスが得られます。
また、顧問弁護士は、税理士、社労士、司法書士などの他士業とのネットワークを持っていることが多いものです。このようなネットワークを背景とした情報も得られますので、顧問弁護士をブレーンのように活用することもできるでしょう。
(4)企業の信頼性の向上につながるから
世間的に名の知れた大企業は、それだけで顧客や取引先からの信頼が得られやすいものです。しかし、中小企業はその信頼を獲得することが難しいことも多いです。
その点、顧問弁護士が付いていれば、顧客や取引先も「安心して取引できる」とのイメージを持ちやすくなります。
会社のホームページなどに顧問弁護士の氏名などを掲載しておけば、世間的にも「きちんとした会社だ」との印象を持ってもらいやすくなるでしょう。
このように、顧問弁護士と契約することは企業の信頼性の向上につながるといえます。
2 中小企業が顧問弁護士と契約することで得られる具体的なメリット
次に、中小企業が顧問弁護士と契約することで得られるメリットを、具体的にご紹介します。
(1)予防法務でトラブルを未然に防げる
顧問弁護士が担う重要な業務のひとつに、予防法務というものがあります。予防法務とは、その名のとおり、企業がトラブルを回避するために、あるいはトラブルが発生してもリスクを最小限に抑えるために、事前に法的なリスクを管理するための取り組みのことです。
例えば、取引の際には顧問弁護士に契約書を作成してもらったり、リーガル・チェックを受けたりすることで、不利な契約締結のリスクを回避することにつながります。
また、労務管理を顧問弁護士にサポートしてもらうことで、従業員との労働トラブル発生のリスクを回避しやすくなります。
その他にも、社内規程の整備やコンプライアンスの維持など、顧問弁護士に任せることができる予防法務は多岐にわたります。
トラブルは未然に防ぐに越したことはありません。顧問弁護士を活用することで、トラブルの未然防止に大きく役立ちます。
(2)トラブル発生時にも迅速な解決が期待できる
仮に、トラブルが発生した際にも、顧問契約をしていれば優先的に対応してもらえます。
顧問弁護士は日頃から会社の実情を把握していますので、臨機応変な対応も可能となります。
新たに弁護士を探して依頼する場合よりも、迅速かつ適切なトラブル解決が期待できます。
また、顧問弁護士がいることにより、トラブルの初期段階で適切に対応することができ、不必要に紛争が拡大することも防止できるのです。
(3)スポット契約よりも費用と負担が軽くなることもある
顧問弁護士と契約するには、顧問料がかかります。その金額は弁護士によって異なりますし、プランによっても変わってきますが、中小企業の場合は月額5万円(消費税別)~となることが多い印象です。
ただし、顧問契約をしていれば、別途、弁護士によるサポートが必要となった場合には、弁護士費用の割引を受けられることもあります。
必要なときだけ弁護士に依頼する契約のことを「スポット契約」といいますが、顧問契約をした方が、トラブルを初期段階で防ぐことができることを含めて、結果的にスポット契約よりも費用の負担が軽くなることも多い印象です。
3 中小企業が顧問弁護士を選ぶときのポイント
顧問弁護士を選ぶ際には、企業法務の実績が豊富な弁護士に相談することが大切です。
この点、大企業では、基本的な法務は法務部門で処理していますので、より高度な専門分野に特化した弁護士を顧問弁護士に選んでいるケースも少なくありません。
しかし、法務部門を持たない中小企業では、事業活動全般について法的にサポートしてくれる弁護士を選んだ方が望ましいといえます。
さまざまな企業をサポートしてきた経験を豊富に有する弁護士を顧問弁護士とすれば、経営者の心強い味方となってくれることでしょう。
当事務所は、1983年の創業以来、東証プライム上場企業から中小企業、個人事業主の方の顧問弁護士として、多くの問題を解決してきました。
中小企業をサポートした実績も豊富に有しておりますので、企業側での紛争案件の処理も含めて、専門的なノウハウを熟知していると自負しております。
中小企業にこそ顧問弁護士の必要性が高く、メリットも大きいといえます。中小企業の経営者で法務にお困りの方は、お気軽に当事務所までご相談下さい。

1983年の創業以来、京都市を拠点に企業法務に注力してきました。現在では、東証プライム上場企業から中小企業、ベンチャー企業まで、約50社の顧問弁護士として継続的なリーガルサービスを提供しています。
労働問題、債権回収、クレーム対応、契約書のリーガルチェック、事業承継など、企業活動におけるさまざまな課題に対応しており、数億円規模の訴訟案件など、訴訟・紛争案件の解決実績も豊富です。
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