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キーワード
架空請求、社員の横領、弁明の機会、懲戒解雇、約2000万円の回収
ご相談内容
ご依頼者は、企業様です。
自社の従業員が、取引先と共謀して、自社に架空請求を行っているとの疑惑が発生しました。
そこで、ご依頼者が取引先を問い詰めたところ、取引先が架空請求を認めるような発言をしました。
今後、ご依頼者においては、架空請求に関与していると思われる従業員に対しても、調査等を進めようとお考えでした。
しかし、ご依頼者において、自社の従業員に対して、今後どのような流れで調査を進めていけばよいのか、どのような処分を行うべきかなどについて、苦慮されていました。
そこで、まずは、当事務所からアドバイスを受けながら、自社で対応を進めていかれることになりました。
当事務所の対応
まず、当事務所からご依頼者に対して、当該取引先と従業員を接触させないようにする対応策をお伝えしました。
その上で、当該従業員との面談の際の質問内容や、面談の際の注意点、面談を行うべき時期などについて、アドバイスをしました。
そして、面談後に、当該従業員との面談内容をまとめる事情聴取書についても、弁護士が修正を行いました(この事情聴取書は当該従業員から署名押印をもらうものです)。
面談において、相手方は、当初は架空請求への関与を否定していたものの、弁護士のアドバイス通りに、会社が証拠を示すと、架空請求に加担したことを認めるとともに、架空請求の内容や期間、想定される会社の被害額などについても供述しました。
また、面談の際に、相手方は、会社の被害額を弁済する意思はあるが、大きな金額は支払えないとの意向を有していました。
会社としては、過去の懲戒事例との均衡上、当該従業員を懲戒解雇すべきとお考えになるとともに、被害額を回収したいという意向でした。
しかし、会社としても、これ以上は、自社で対応できないとお考えになり、全面的に当事務所に依頼されることになりました。
全面的にご依頼頂いた後、まずは、相手方に対して、懲戒解雇の前提となる弁明の機会を与えました。
この時には、相手方も、弁護士に依頼をしていました。
弁明の機会の際には、弁護士から、相手方に対して、改めて、会社側が認識している今回の架空請求の内容等を伝えた上で、この事実関係を認めるのか、争うのかの確認を行いました。
これに対して、相手方は、事実関係を争わない旨の回答を行いました。
そして、弁明の機会の後、会社から当該従業員に対する懲戒解雇を行っています。
その後、双方の弁護士同士で被害弁償の交渉を行い、最終的には下記の内容を含む合意が成立しています。
■合意の内容
①相手方が依頼者に対して、約2000万円の支払い義務を負うことの確認
②本合意成立時に、1500万円を支払うこと
③残額については、合意成立の約3か月後に支払うこと
その後、1500万円の回収については問題がなかったものの、残額については、相手方から、期日通りの支払が難しい旨の連絡をしてきました。
そのため、当方から相手方に対して、支払を強く要求しました。
最終的には、当初の予定から約3か月後に、相手方が金融機関から融資を受ける形で、14.6%の遅延損害金も含めて、金銭の回収を行いました。
コメント
従業員の横領事案の場合、事前に証拠を集めた上で、入念に初回面談の準備を行わないと、従業員から簡単に容疑を否認されてしまったり、被害額の回収ができなくなってしまいます。これは、今回のような、架空請求・詐欺事案の場合も同様です。
また、この手の案件で、懲戒解雇を行う場合、しっかり証拠を固めた上で、弁明の機会などの手続きを適切に行うことが重要です。
なぜなら、最悪の場合、不当解雇であるとして、従業員側から訴えられてしまうからです。
現に、裁判例などを見ても、横領を理由に会社が懲戒解雇を行った事例で、不当解雇として、会社側が敗訴している事例もあります。
不当解雇として、企業側が敗訴した場合、企業がその従業員に対して、解雇日まで遡って賃金を支払う必要があります。仮に、企業と労働者が徹底的に争い、労働訴訟において企業側の敗訴判決が出されるまでに、解雇をしてから2~3年経過している場合には、企業は、2~3年分の賃金を遡って支払わなければなりません。
このように、企業が対応を間違えると、自社に大きな損害が発生することになります。
そのため、従業員の横領や架空請求が疑われる場合には、まずは弁護士に相談されるべきです。
当事務所は、1983年の創業以来、東証プライム企業から中小企業、個人事業主の方の顧問弁護士として、これまで数多くの労働問題を解決してきました。
本件のような従業員の横領・詐欺事案についても、多数の対応経験を有しております。
これらの問題でお困りの企業様は、お気軽にご相談頂ければと思います。
※特定できない程度に内容をぼかしています。

1983年の創業以来、京都市を拠点に企業法務に注力してきました。現在では、東証プライム上場企業から中小企業、ベンチャー企業まで、約50社の顧問弁護士として継続的なリーガルサービスを提供しています。
労働問題、債権回収、クレーム対応、契約書のリーガルチェック、事業承継など、企業活動におけるさまざまな課題に対応しており、数億円規模の訴訟案件など、訴訟・紛争案件の解決実績も豊富です。
京都府(京都市北区・上京区・左京区・中京区・東山区・山科区・下京区・南区・右京区・西京区・伏見区・長岡京市・八幡市・京田辺市・宇治市・亀岡市・城陽市・向日市・福知山市・舞鶴市・綾部市・宮津市・京丹後市・南丹市・木津川市など)、滋賀県、大阪府を中心に、全国の企業様からのご相談にも対応しております。
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