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キーワード
過重労働、後遺障害、労災認定、民事訴訟、3億円以上の減額
ご相談内容
ご依頼者は、運送業を営む企業様です。
自社の業務委託先であるドライバーが脳梗塞を発症してしまい、当該ドライバーのご両親から会社に対して、労災申請を行うように求めがありました。
会社としては、自社の従業員ではないと考えていましたが、労災申請に協力して、労働基準監督署からの聞き取り等に応じてきました。
すると、労基署は、当該ドライバーが会社の従業員であり、過重労働によって脳梗塞が生じたとして、後遺障害2級の労災認定を行いました。
その後、当該ドライバーが会社に対して、遅延損害金を含めて3億円以上の支払を求める民事訴訟を提起してきました。
そこで、会社が対応に苦慮して、当事務所に依頼をされました。
当事務所の対応及び結果
本件の争点は、概ね、下記の3点であることが見込まれました。
①当該ドライバーが会社の労働者であるか否か
②脳梗塞が発症しうるような過重労働であるか否か
③脳梗塞の発症原因が業務であるか否か
そこで、①については、当該ドライバーが会社の委託先になった経緯などを詳細に主張するとともに、当該ドライバーの業務が会社の指揮監督下において行われていないことや、当該ドライバーの報酬が完全出来高制であり、労働の対価としての給料ではないこと等を、証拠をもとに主張し、実質的に見ても、会社と当該ドライバーの契約形態は雇用契約ではなく、業務委託契約にすぎない旨主張していきました。
また、②についても、当該ドライバーの配達個数や各配達ルート間の距離などをもとに、相手方の主張する労働時間が誤りであることを主張していきました。
さらに、③についても、医療機関から、当該ドライバーの治療期間中のカルテや医療記録を取り寄せて、それをもとに主張を行っていきました。治療期間が6年以上にも及んでおり、膨大な量の医療記録でしたが、全期間分、念入りに確認しました。そして、その中には、脳梗塞の発症が別原因である可能性を示すなど、当方に有利な内容が複数箇所存在し、それをもとに徹底的に主張していきました。
最終的には、ご依頼者が相手方に対して、約4000万円を分割で支払う内容での和解が成立し、3億円以上の減額に成功しました。
コメント
ご依頼時点で、相手方は労災認定を受けており、労基署において、当該ドライバーが会社の労働者であることや、過重労働が原因で脳梗塞が生じたことを認定している状態でした。
また、当該ドライバーが若年であるため、相手方の損害額も極めて高額となり、最終的な相手方の請求額は、遅延損害金を含めて、3億5000万円を超える金額となっていました。
このように、ご依頼者にとって不利な状況かつ、相手方の請求額も極めて高額な案件であり、相手方の請求が認められてしまった場合、企業の存続が危ぶまれるような状況でした。
そこで、当事務所においても、このような状況を覆すべく、徹底的に証拠の収集と精査を行った上で、裁判所を説得する書面を作成していきました。
最終的には、その甲斐あってか、相手方の請求金額から3億円以上減額した上で、分割払いを内容とする和解を成立させることができ、ご依頼者にご満足頂ける結果となりました。
手前味噌ながら、このような結果を出すことができたのは、高い水準でやるべきことを全てやりきったためであると自負しております。解決事例の性質上、当方の主張内容を抽象的に記載しておりますが、実際の訴訟では、逐一証拠に基づいて、かなり細かく主張しております。
当事務所は、1983年の創業以来、東証プライム企業から中小企業、個人事業主の方の顧問弁護士として、これまで数多くの労働問題を解決してきました。
労働問題でお困りの企業様は、お気軽にご相談頂ければと思います。
※特定できない程度に内容をぼかしています。