月額賃料を30万円増額し、定期建物賃貸借契約への切り替えにも成功した事例【解決事例】

キーワード 

賃料増額請求、普通建物賃貸借契約から定期建物賃貸借契約への切り替え、示談交渉

ご相談内容  

ご依頼者は、所有不動産を他社に賃貸されている企業様です。

ご依頼者は、貸主として賃貸借契約を締結されていましたが、その月額賃料が近年の物価上昇を加味できておらず、適正価格よりも低額であると感じておられました。

また、賃貸借契約の契約形態が、普通建物賃貸借契約でしたが、建物も老朽化しており、今後の建て替え等も考慮して、可能であれば、定期建物賃貸借契約に切り替えておきたいとのお考えでした。

そのため、会社としても、弁護士に依頼をしようと考え、当事務所に依頼をされました。

当事務所の対応及び結果

まずは、相手方に対して、書面にて、賃料増額請求とともに、定期建物賃貸借契約への切り替えの申出をしています。

その書面の中では、賃料増額の根拠を詳細に記載するとともに、賃貸借契約の解除事由となり得る行為を相手方が行っており当方が解除権を有していると考えていることを匂わせています。

相手方に対して最初に送付する書面は、今後の交渉の方向性を基礎付ける重要な書面になります。

今回の書面で重要なポイントは、相手方が交渉の土俵に乗ってくれるギリギリのラインの増額金額を記載することでした。

賃料増額請求の場合、いかなる増額金額を記載するかは請求者側の自由ですが、あまりに高すぎると、相手方は交渉のテーブルにつかずに、調停や訴訟をやってくれとのスタンスになります。他方、増額金額が安すぎると、請求側の利益が図れません。

なので、請求者としては、相手方が交渉のテーブルにつくギリギリの増額金額を見極める必要があります。

また、最初の書面については、内容は全て弁護士が作成しているものの、弁護士名で送付せず、企業名で送付しています。これは、弁護士名で書面を送付した場合、相手方にも弁護士が就任する可能性が高いためです。

事案によっては、相手方にも弁護士が就任してくれた方が良い時もあるのですが、今回の事案では、当事者同士で書面のやり取りをした方がご依頼者にとって有利であると考えられる事案であったので、その形にしています。

当方からの最初の書面送付後、相手方から回答があり、定期建物賃貸借契約への切り替えはできず、賃料増額についてもご依頼者が納得できない金額の増額提案となっていました。

相手方は、顧問弁護士がいると考えられる規模の企業で、相手方からの書面を見る限り、相手方も顧問弁護士に相談はしていると思われる内容でした。

その後、当方と相手方との間で、一進一退の書面でのやり取りをした後、

相手方との間で、月額賃料の金額について合意ができ、定期建物賃貸借契約への切り替えにも同意してもらえました。

そのため、定期建物賃貸借契約書に関するやり取り、普通建物賃貸借契約からの切り替えを内容とする合意書に関するやり取り、定期建物賃貸借契約に関する事前説明書書面の交付や事前説明などを進めています。

この辺りからは、弁護士(当職ら)が前に出ても問題無いと判断し、弁護士が相手方のご担当者とのやり取りを行っていきました。

最終的には、

月額賃料を30万円増額し

普通建物賃貸借契約から定期建物賃貸契約へ切り替える内容で、

契約書と合意書の締結ができています。

合意後の月額賃料について、増額率で見ると、ご依頼前の月額賃料と比べて、35%以上の増額となっています

ご依頼者においても、まさか賃料の増額のみならず、定期建物賃貸借契約への切り替えが出来るとは思っておられなかったようで、大変ご満足頂ける結果となりました。

コメント

賃料増額請求にて、裁判になった場合、裁判所が選任する鑑定人(不動産鑑定士)の意見に依存することが多く、見通しが立てづらい側面があります。

また、裁判になった場合には、定期建物賃貸借契約への切り替えが難しくなります。これは、法的に、定期建物賃貸借契約への切り替えを強制することはできないためです。

それゆえ、本件については、示談交渉で解決することを念頭に、案件を進めていきました。

相手方が交渉のテーブルに乗ってくれるギリギリの増額金額を見極めながら、提案金額を決めていく必要があったため、慎重な対応が要求される事案でしたが、ご依頼者に大変ご満足頂ける結果となって良かったです。

なお、定期建物賃貸借契約への切り替えについては、法的に適切な対応を行わない限り、切り替え自体が無効となり、普通建物賃貸借契約として扱われることになってしまいます

そのため、本事案でも、定期建物賃貸借契約への切り替えに関する相手方への事前説明などは、全て弁護士が行っています。

当事務所は、1983年の創業以来、東証プライム企業から中小企業、個人事業主の方の顧問弁護士として、これまで数多くの企業側の案件を解決してきました。

法律問題でお困りの企業様は、お気軽にご相談頂ければと思います。

※特定できない程度に内容をぼかしています。

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