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キーワード
売掛金の回収、経営者の失踪、屋号の継続使用
ご相談内容
ご依頼者は、顧客の店舗に商品を納入した企業様です。
ご依頼者が商品を納入したにもかかわらず、相手方は支払期日に代金を支払わずに、支払の延期を求めてきました。
そこで、依頼者においても、支払期日の延期に同意しましたが、相手方は延期した期日にも代金を支払わない状況でした。
その後、相手方の経営者が失踪して、経営者の親族が店舗運営を行うことになりました。
そのため、依頼者が当該親族に支払を求めましたが、当該親族は、①支払うお金がないし、②支払義務を負うのは、経営者であり、自身は支払義務を負わないなどとして、代金の支払いを行いませんでした。
そこで、ご依頼者は、売掛金の回収を行うために、当事務所に依頼をされました。
当事務所の対応
まず、弁護士が、相手方の店舗に書面を送付するとともに、現在店舗運営を行っている親族との交渉を行いました。
しかし、親族からは、他の費用も滞納しており、お金がないし待って欲しいの一点張りで、現状提案できるのが毎月5000円や1万円ほどの返済である旨伝えられました。
そのため、弁護士において、経営者と現在店舗運営をしている親族を相手方として、速やかに訴訟提起を行いました。
訴訟の中で、当該親族は、契約を締結したのは経営者であり、法律的には、自身に支払義務がない旨主張しました。
これに対して、当方からは、当該親族は、経営者が失踪して以降、店舗運営を行っているため、失踪した経営者から店舗を譲り受けて、新たに店舗の経営者になったといえるし、屋号の継続使用も行っているので、商法第17条1項の類推適用が認められ、支払義務を負うというべきである旨主張しました。
そして、弁護士が当該親族の尋問も行い、当該親族を追及していきました。
その甲斐もあってか、判決においては、経営者のみならず、当該親族の支払義務も認められました。
また、判決と並行して、当該親族と下記内容を含む合意書を締結しました。
■合意書の内容
①依頼者がかけた弁護士費用も考慮して、当該親族が、売掛金と遅延損害金を足した金額を超える額の支払い義務を負うこと
②当該金額の4分の1を一時金として支払うこと
③残りの金額については、18か月の分割払いを行うこと
④1円でも分割払いの支払が遅れた場合には残額を直ちに支払うこと
その後、弁護士が、②の一時金のみならず、③の分割金も全て回収しています。
分割金の回収に際しては、相手方の支払が遅れた時には、弁護士から何度も催促を行い、当初の予定通り、18か月で回収を完了させています。
コメント
本件は、経営者が失踪した店舗から売掛金を回収した事例です。
売掛金の回収の場合、速やかに回収を行うケースと、粘り強く交渉を行うケースの2パターンがあります。
相手方が、現時点で一括して代金を支払うことが可能な場合には、速やかに回収を行うケースといえます。
他方、今回のように、資力がない相手方については、駆け引きを行いながら、粘り強く交渉を行っていく必要があります。
なぜなら、こちらが強く交渉するのみの場合、相手方において判決が出てもお金を払いませんというスタンスになってしまい、実際に回収ができなくなってしまうからです。
判決が出て、相手方が任意に支払わない場合には、強制執行を行うことになりますが、取るものがなければ、強制執行も空振りに終わってしまいます。
そのため、本件のようなケースでは、駆け引きをしながら、合意書を締結した上で、分割払いについても弁護士から適宜催促をしていくのが望ましいと考えています。
本件でも、最終的には、相手方とそれなりの信頼関係ができ、他の支払に関しては滞納しながらも、こちらの支払を優先してもらって、分割払いが完了しています。
当事務所は、1983年の創業以来、東証プライム企業から中小企業、個人事業主の方の顧問弁護士として、これまで数多くの債権回収を行ってきました。
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